「野中くん発 ジブリだより」2023年11月号

 映画「君たちはどう生きるか」はお陰様でまだまだ上映が続いており、本当に有難いことです。先月も書きましたが、関連書籍の発売がついに始まり、映画をより深く、じっくりと楽しめるようになってきています。11月1日(水)には『ジ・アート・オブ』、『絵コンテ全集』そして『フィルムコミック(上)』が発売されました。どれもこれまでのジブリ作品で常に出版されてきた本ですから、皆さんよくご存じと思いますが、中でも絵コンテは、宮﨑駿監督が600ページ以上に亘り映画の全カットの内容を自ら描き指示をした、いわば映画の設計図ですから、とても読み応えがあります。なお、『フィルムコミック(下)』と『アニメ絵本』は12月15日(金)に発売予定です。

 また、ジブリ作品としては多分初めてのことと思いますが、10月27日(金)から、上映中の各映画館で「君たちはどう生きるか」の公式ガイドブックの発売が始まりました。宮﨑駿監督による企画書、スタッフへの作品説明やイメージボード、そして総勢26名に及ぶ、声の出演者・制作スタッフのインタビュー・コメント・座談会など、こちらもとても充実した内容になっています。税込1320円で、東宝、三鷹の森ジブリ美術館のオンラインショップでも発売中。

 さて、海外では映画祭に続いて一般公開もいよいよ始まりましたが、10月6日(金)封切でトップバッターとなった台湾では初登場第1位になり、幸先の良いスタートを切ることが出来ました。『熱風』のこの号が出る頃までには、10月25日(水)に韓国、10月27日(金)にスペイン、11月1日(水)にフランス・スイス・ベルギー、11月9日(木)にポルトガルと、さらに公開国が増えているはずですが、果たしてどう受け止められているでしょうか。

 国内に戻ると、11月18日(土)から、三鷹の森ジブリ美術館では新企画展示「君たちはどう生きるか」展が始まります。制作期間が足掛け7年に及んだ本作ですが、基本は今回も手描きでした。本展では実際に描かれた絵を展示して、手描きの豊かさと、描く力そのものを感じて頂くことを目指します。三部構成を予定しており、第一部は「イメージボード編」、第二部「レイアウト編」は2024年5月開始、そして第三部「背景美術編」は2024年11月開始をそれぞれ予定しています。ジブリ美術館は日時指定の予約制。詳しくは公式サイトをご覧下さい。