2002年5月

5月1日(水)
 5ロールのカッティングが行われる。色がついていないカットが多く、というよりもほとんど色がついていない。でもアクションシーンが多いので、線撮りでも楽しめたりして・・・。

 本撮、タイミング撮等々T2とのやり取りも増え、演助からのMOでのデータのやり取りが容量的に不便になってきたので、ハードディスクでやり取りをしようかと画策中。


5月2日(木)
 夕方5時頃から音楽打ち合わせが行われる。野見さんがカッティング済のラッシュフィルムにあわせて作ってきてくれたデモテープを聞きながら、映画の中で使われる音楽を1曲1曲細かくチェックしていく。音楽の完成度が高く、絵とタイミングが合わずに問題になる個所があった他は、森田監督も大満足。

 「猫の恩返し」の背景を手伝ってくれていた申さんの作業が終了し、10日にソウルへ帰ることになったため、夕食時に屋上で美術部を中心としたお別れパーティが行われる。こんなに作業が長くなって申し訳ない。

 渡辺さんが、「鈴木さんに怒られる前に、3st地下の物置状態を整理しよう。」神村と2人で地下に置く棚のサイズを測り、いざJマートへ。目的の棚を購入し、会社に戻り組み立てようとしたところ、柱が無い。棚のケースにでかでかと「支柱別梱包」と。そもそも高さ180cmの棚を買ったのに、箱の大きさが100cm程度。買った時に気づけと第三者の弁。


5月3日(金)
 明日のカッティング用原撮のうち、T2さんにお願いするカットを朝一に撮入れ。なんとか明日のカッティングに間に合うか。

 千尋でお世話になったテレビマンユニオンの八幡さんの結婚披露宴に、神村氏、渡辺氏らジブリから10人が出席。

5月4日(土)
 ロール5の直しと、ロール6のカッティングが行われる。これで、一応一通りのカッティングが行われた事になる。来週水曜日に修正分も加えて前編の尺を確定する。


5月5日(日)
 週末から風邪気味だった森田監督だが、昨日帰りに買った液体風邪薬と、カッティングが終了した安堵感等々がうまく作用し、今日は以外に元気そう。今倒れられると作品にとって致命的なので、休ませてあげたい、と思いつつ会社に来た森田監督を見て制作一同ホッと一安心。ああ、悪魔じゃ。


5月6日(月)
 水曜日のカッティング修正分のタイミング撮のチェックの締め切りが明日の朝なので、森田監督必死のチェック。


5月7日(火)
 風邪から回復してきた森田監督だが、声がガラガラ声から戻らず、スタッフにいろいろ説明するのがつらそう。
 「猫の恩返し」の追込みのため、新たに外注動画を増やすべく、動画スタジオにTELを入れる。好感触、明日から動画を入れる事に。

 ラッシュチェックが行われる。


5月8日(水)
 ロール6の最後の修正が行われる。これで映画の長さがエンディングをいれて約75分と確定する。昨日TELした、動画スタジオに動画を入れる。JRの駅から近い為、電車で移動するが、中央線は、相変わらずの事故の為ダイヤが滅茶苦茶。約束時間より遅れてしまい大顰蹙。

 使い方が荒いのか、カラーコピー機が壊れる。修理に来てもらい原因を調べると、部品が一部壊れている事が判明。もう少し丁寧に扱いましょう。

 韓国へ帰る申さんの荷物を、申さんと郵便局に持っていったのだが、ダンボール箱をはかりに載せたところ、規定の20キロを600グラムオーバー。せっかくガムテープでぐるぐる巻きにした荷物を再びあけ、中からCD5,6枚を出し事無きを得る。


5月9日(木)
 神村氏が体調不良のためお休み。また色指定の三笠氏も体調不良のためお休み。う~ん。


5月10日(金)
 渡辺・神村と同じダイエット仲間のマンマユートの〇光さん。商品部に来て開口一番「お腹すいた。」と言い。机の上にあった、昆虫用のゼリーを食べようとする。そんなにダイエットが辛いのか・・・・。


5月11日(土)
 明日のアフレコに向け少しでも色をつけようと、T2が最後の踏ん張り。タイミング、本撮あわせて130カットに色がつく。これで少しは声が入れやすくなったか。前半は・・・。


5月12日(日)
 本日よりアフレコが始まる。まず朝10時よりハル役の池脇千鶴さん、ナトル役の濱田マリさんの収録開始。午後からユキ役の前田亜季さん、トト役の斎藤洋介氏が行われる。本日の収録は午後9時半に終了。


5月13日(月)
 今朝も朝10時からアフレコが行われる。昨日に引き続き池脇さん、ひろみ役の佐藤仁美さん、午後からお母さん役の岡江久美子さんの収録。そして夕方からバロン役の袴田吉彦さんがスタジオIN。見た目もかっこいいけど、声がまたイイ。森田監督も、バロンが「フンベルト・フォン・・・」と自己紹介をするシーンでは、思わず「カッコイイ!」とガッツポーズ。ところで今回のアフレコも「千尋」同様、ジブリ試写室で行われているが、試写室には仕切りが無いので、音響監督林さん、森田監督等スタッフは役者さんと同じ場所にいる。そのため本番中は物音一つ立てられない。空腹時の腹の音も収録されてしまう可能性もあるので、腹の音を抑える「ぐーぴた」と呼ばれる食べ物がそこここに置いてある。


5月14日(火)
 今日は12時から再びアフレコ。今日はルーン役の山田孝之さん、ムタ役の渡辺哲さん、そして池脇さんの収録。渡辺哲さん渋い。10時にアフレコが終了した後、ラッシュチェックが行われる。本撮が40カット以上。


5月15日(水)
 今日は午後からアフレコ。袴田さんの取り残し分の収録。今日でバロンは全て終了。

 ようやく朝に一瞬森田監督の体が空いたため、朝からBGチェック。90カット近くの上がりが出る。


5月16日(木)
 夕方からラッシュチェックが行われる。本撮27カットが上がる。

 森田監督は、残り少しとなった演出チェックに専念。また特効上がり等々、アフレコ中に溜まったチェック仕事に追われていた。


5月17日(金)
 今日は再びアフレコ。朝から千と千尋にも出演していただいた大泉洋、安田顕、鈴井貴之の三氏の登場。大泉氏の先生役を手始めに、いくつかの役を担当していただく。演技はまじめで、良いのだが、本人達が実におかしい。緊張続きだったアフレコ作業の清涼剤となる。昼過ぎには北海道に向けて旅立っていった。続いてナトリ役の佐戸井けん太さん、夕方から本名陽子さん、夜にはガヤ録りが行われる。朝10時から始まった作業が終了したのは夜11時。


5月18日(土)
 最後の原画がついにアップ。森田監督は残った演出チェック作業。残りは10数カット。果たして今日中に終わるのか。


5月19日(日)
 朝9時頃、森田監督の最後の演出チェックが終了。制作一同ホッと一息。次は作監作業だ。


5月20日(月)
 アフレコ最後の日。とりを務めるのは、猫王役丹波哲郎氏。監督以下、収録スタジオにいた全員が今年80歳とは思えない存在感と声に圧倒される。と言いつつも、丹波さんはとても面白い方で、スタジオ内は常に笑い声が絶えない雰囲気の中で、作業が進められた。


5月21日(火)
 とりあえず、原画チェック、アフレコが終了して少し間があいたので、本日より取材等々が行われることになる。まずは、パンフレットと角川ムック、ニュータイプの合同(といっても記事を書いている人が一人なので、書き分けているだけ)インタビューが行われる。某スタジオに、カットを届けに行った帰り、普段の道を通ればよいものを、裏道を使ったばかりに、「一時停止無視」で神村氏捕まる。「まあ、警察が事前に事故を防止してくれたんだ。良かったよ。」と捕まった、神村氏の負け惜しみの弁。交通ルールは、絶対に守りましょう。事故がおきてからでは遅いのです。


5月22日(水)
 日本テレビの奥田さんがどうしてもあんかけチャーハン食べたいと8時ごろ来社。田中さんと野中さんを誘って、食べに行く。神村氏と渡辺氏も誘われたが、別に打合せがあり行けず。帰って来た田中さんは、「もう絶品。美味かった」を連発。「明日行こう。」と誓う二人であった。

 森田監督、今日はMOEの取材。


5月23日(木)
 昨日のあんかけチャーハンの話を聞いて、神村・渡辺の飽食コンビが早速食べに行くも、昨日とは打って変わった長蛇の列に入店を断念。近くのファーストフード店でうな丼を食べて帰ってきた。


5月24日(金)
 高橋さんとイマジカへ最終スケジュールの調整へ。来週から完成したシーンからフィルムレコーディングに出すことで、なんとか6月中の完成スケジュールにゴーサインが出る。千尋より少しだけ速いような・・・。


5月25日(土)
 最近、烏龍茶をがぶ飲みしながら、「烏龍茶ダイエットだ。」と言っている、渡辺、神村両氏。極力油物を控えていたが、ついに我慢できず渡辺氏が経理の一村氏と中華料理に行ってしまった。それを聞いた神村氏が「情けない。」と一言。しかし、神村氏の夕食も「味噌チャーハン」。「ダイエットの道は、遠く険しい。」と二人の弁。


5月26日(日)
 午前中に作監井上鋭さんの作監作業がアップ。午後一に森田監督に見てもらいOKがでる。


5月27日(月)
 東京オペラシティにて、音楽録り第一日が行われる。演奏は東京フィルハーモニー交響楽団。指揮は熊谷弘氏。野見さんの素晴らしいオーケストレーションが随所に発揮されていて、ジブリサントラ史上最高の出来か。森田監督も大満足。ところで当日見学に来ていた広報西岡氏が、指揮者が熊谷氏と聞いて驚いた。なんと学生時代所属していた学生オーケストラを2度ほど振ってもらった恩師だったのです。収録後早速昔話に花が咲いたのは言うまでもない。


5月28日(火)
 音響監督若林さんから、動画以降に作業が進んでいないため、効果音が付けられないカットについて、何時動画が上がるのか確認の連絡が入る。後半ドンパチがあるシーンで動画が上がっていないカットが多く、作業が滞っているとのこと。とにかく音響優先カットを各部署にさらに催促をはじめる。


5月29日(水)
 今日も東京オペラシティで音楽録り。今日はパイプオルガンを使うので、野見さんはバッハのオルガン曲の楽譜を持って早めに会場入り。といっても本編にバッハの曲を使う訳ではない。自分で一度パイプオルガンを弾いてみたかったらしい。あまりに気持ちよかったので、調子に乗って弾いていたら、会場の人に怒られそうになったとか。ところでクラシックマニアの制作某氏もついでにパイプオルガンを弾かせてもらっていたが(鍵盤を押したと言うべきか)、「多分生涯最初で最後のことだろう」と大感激していた。


5月30日(木)
 東宝のスタジオで「猫の恩返し」の生音を録っているが、本日は中休み、ラストスパートにかけて、鋭気を養って下さい。


5月31日(金)
 DRの動画が大挙して上がってきた。さすがと言うべきか、ありがたいというべきか。なんとか6月5日の動画アップに間に合いそうな感じがしてきた。と安心していると落とし穴があったりもするので、まだ気は抜けない。東宝のスタジオに渡辺・神村が差し入れに行く。何も考えてなかった為、途中で思いつきの品々を買う。「コロッケ・ハムカツ・メンチカツ・チョコレートパン」と自分達が食べたい物だけを買いあさり、スタッフからも、「見事に自分達が食べたい物だけですね」とあきれられる。