「野中くん発 ジブリだより」2022年5月号

 5月28日(土)より、三鷹の森ジブリ美術館で新企画展示「未来少年コナン」展─漫画映画の魅力にせまる!─が始まります。「未来少年コナン」は1978年4月から10月にかけてNHK総合で放送された、全26話のテレビアニメーションシリーズ。宮崎駿監督の初監督作品であり、日本アニメーションが制作しました。

 いきなり私事で恐縮ですが、「未来少年コナン」の初放送時、私は高校3年の受験生でした。たまたま第1話を観て引き込まれ、以来、毎週欠かさず観るようになり、すっかり「コナン」の虜になりました。当時ビデオデッキはまだ一部の家庭しか保有しておらず、我が家もなかったので頭の中で反芻するしかなかったのですが、途中からカセットテープに音だけ録音し、繰り返し聴いたものです。全話の放送が終わった後は、完全に今でいう「コナンロス」状態。常時「コナン」のことが頭から離れず、よくあれで大学に受かったものです。ともかく、寄り道はしたものの、私が今ジブリに居るのは、間違いなくあのとき「コナン」に出会ったからです。アニメーション業界で、私と同じくらいか少し下の世代で、「コナン」が契機となってこの業界を目指した人は結構いると思います。一昨年、久しぶりにNHK総合で再放送されて、その魅力が世間で再認識されたのも記憶に新しいところです。

「コナン」の魅力は沢山あります。コナンを始めとする生き生きとしたキャラクターたちが、大戦争で一度滅び再生しつつある世界で、苦難を乗り越え、自らの意思で、力を合わせて生きていく姿は感動的です。また、あり得ないようなアクションを、巧みな作画と演出でリアリティを以て描き、面白さと解放感を感じさせてくれます。さらに、架空の世界でありながら、あたかもコナン達と一緒に冒険をしているかのような、臨場感と存在感。今回の企画展示では、サブタイトルにあるように、漫画映画の面白さを切り口に、この作品の魅力を紐解いていきます。会期は来年5月までの予定です。ジブリ美術館は日時指定の予約制。新型コロナウイルス対策で、チケット販売方法等が変更されることもあるので、公式サイトを随時ご確認下さい。

 最後になりましたが、ジブリパークの公式サイトでは、11月の開園にむけて新しいビジュアルや開園情報などが少しずつ掲載され始めています。ぜひそちらもご注目下さい。