「野中くん発 ジブリだより」2020年7月号

 宮崎吾朗監督最新作、全編3DCGによるスタジオジブリの長編アニメーション 「アーヤと魔女」の概要が先月発表されました。原作は「ハウルの動く城」と同じく、イギリスのファンタジー作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズさん。原作小説『アーヤと魔女』は2011年に亡くなった彼女の遺作になりますが、この本の日本語版(徳間書店刊)を宮崎駿監督はとても気に入り、帯に「なんという愛らしい本でしょう。(中略)ぼくは5回位スミからスミまで読みました。」という文章を寄せています。今回の映像化は宮崎駿監督の企画です。宮崎吾朗監督の前作はNHKで放送されたテレビシリーズ「山賊の娘ローニャ」(制作・著作:NHK、ドワンゴ)で、このときも基本的には3DCGでしたが、完成画面は見た目をセル画風に変換して絵作りを行っていました。「アーヤと魔女」はピクサー作品等と同様のリアルな3DCGの映像で全編を制作しており、言うまでもなくジブリ初です。制作・著作はNHK、NHKエンタープライズ、そしてスタジオジブリ。この冬にNHK総合テレビで放送予定ですが、先日、いち早くカンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション2020に選ばれました。

「アーヤと魔女」は、自分が魔女の娘とは知らずに育った少女アーヤが、ある日、奇妙な家に引き取られ、そこで意地悪な魔女と暮らすことになったことから始まる物語。鈴木敏夫プロデューサーは発表時のコメントで「『アーヤ』は、コロナ後に堪えられる作品なのか?ラッシュを見ながら、ぼくは何度も考えました。そして、この作品の大きな特徴は、アーヤの賢さだと気づきました。賢ささえあれば、どんな時代も乗り越えられる。そう思ったとき、安堵を覚えました。(中略)『アーヤ』は世界一賢い女の子の物語です。」と語っています。そして吾朗監督は「今、僕たちの国では、大人ばかりが多くて、子どもの数が少ないです。その少ない数で沢山の大人を相手にしなければいけないから、今の子どもたちは大変だろうな。そんなことを考えているときに僕はアーヤに出会いました。そして、「そうか、そうすりゃ良いのか!」と思ったのでした。アーヤが面倒くさい大人たちを相手にどうするか?(中略)憎たらしいけど、可愛い僕らのアーヤが、子どもたちを勇気づけ、大人たちを元気づけてくれることを、心から願っています。」とコメントしています。ニューヒロイン・アーヤ誕生まで、今少しお待ち下さい。