「野中くん発 ジブリだより」 6月号

 スタジオジブリの最新作「風立ちぬ」(宮崎駿監督)ですが、もうすぐ完成です。この原稿を書いているのは5月半ばですが、原画、作画監督、背景の作業が終わり、動画も残り20数カット、仕上や撮影も70カット程度を残すのみで、現在アフレコが進行中。主人公の堀越二郎役を「エヴァンゲリオン」シリーズ等で有名な庵野秀明監督が担当することが先日発表されたばかりですが、鈴木プロデューサーが発案し、宮崎監督がそれを受け入れ、オーディションを実施の結果この配役が実現しました。この号が配布されるのは6月10日ですが、もうすぐ初号試写が実施されるはずです。

 さて、ジブリの新しい試みとして、初のスマートフォン向け公式サイト「ジブリの森」が先月からスタートしました。「ジブリの森」は、KDDIのスマートフォンかタブレットを持っていて、auスマートパスのサービスに加入していると追加料金なしで楽しめます(通信料は別)。

 ジブリはこれまでネットや携帯電話については極力慎重に対応してきており、新作映画公開時に行う種々のプロモーションも、デジタルの媒体ではかなり絞った形で行ってきました。しかし、世の動きを眺めるに、いろんな画像、映像がネットや携帯電話上では氾濫しており、その中にはジブリの海賊版画像も相当含まれているのが現状です。しかもそれらはさらに増えつつある模様。そこで、こうなったら正式なサイトを立ち上げるべきだ、という方針の転換があり、ここ数年、映画の特別協賛等でお世話になってきたKDDI社の協力を得て、同社提供でタイアップ企画として公式サイト「ジブリの森」を開始することになりました。また、ドワンゴ会長兼ジブリプロデューサー見習いの川上量生さんにも大変協力をいただきました。

 そういうわけで始まりは防衛的な動機でしたが、やるからには楽しい物をというわけで、過去の作品の密度の高い紹介、新情報、種々のアーカイブ資料、ゲームやクイズ等、結構見応えのあるサイトになっていると思います。動画は使わず読み物中心。また、特集は雑誌感覚で毎月更新があり、最初の号は「トトロ」、次は「ラピュタ」の特集です。なお、私も日誌を掲載しております。どうか宜しく。

 最後になりましたが、三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーの新作「しわ」が6月22日(土)から新宿バルト9他で公開です。ぜひご覧下さい。