高畑勲、宮崎駿をアニメーションへと誘った映画「王と鳥」、7月29日、渋谷シネマアンジェリカで封切りです。

その部屋には、3枚の絵が飾られていた。
美しい羊飼い娘と、煙突掃除の青年、
そして、孤独な王の肖像画。

娘と青年は恋をしていた。
その仲を引き裂こうとする王。
ふたりは絵の中から、逃げ出した。
一羽の鳥が道先案内人になり、めまぐるしく続く階段を、どこまでも駆け降りてゆく。

しだいに明らかになる、宮殿の正体。
為政者もマスコミも、そして民衆も、
みんな一緒くたになって天高くそびえる高層宮殿は、
世界の支配構造(システム)そのものだった!

気をつけたまえ。この国は今、罠だらけだからな。

高畑勲、宮崎駿をアニメーションへと誘った
アンデルセン原作の「王と鳥」
ジブリの原点、この夏、堂々劇場初公開!
                                                (「王と鳥」ボディコピー)


 2006年夏、ジブリは『ゲド戦記』の他に、もう一作、あるフランスの長編アニメーション映画を劇場公開します。
 高畑監督がその精神を受け継ぎ、宮崎監督が表現と着想を受け継いだ映画『王と鳥』(1980)という作品です。

 詳しい情報は、本日正式オープンした「王と鳥」公式サイトをご覧下さい。

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【参考】 ジブリと『王と鳥』の関係概説

 2006年、スタジオジブリがこの夏に贈るもう一つの映画は、高畑勲、宮崎駿、そしてジブリの “原点”とも言うべき映画『王と鳥』(1980)です。監督は、フランスアニメーション界最大の巨匠ポール・グリモー。脚本は、『天井桟敷の人々』や名曲『枯葉』で知られ、フランスを代表する脚本家・詩人のジャック・プレヴェール。本作は、作者ふたりの未承認のまま公開されてしまったフランス初の長編アニメーション映画『やぶにらみの暴君』(1952)の“作者完成版”としても知られています。

 ジブリと『王と鳥』(=『やぶにらみの暴君』)とは、深い縁があります。この作品がなかったなら、いまのジブリは存在し得ないと言っても過言ではありません。

 高畑監督は、ディズニーとは全く異なるその表現と、時代を鋭く捉えた視覚的隠喩の数々に驚嘆し、「少なくとも、もしそれを見ていなければ、アニメーション映画の道に進むことはなかった」と当時を振り返ります。以降、現在に至るまで、グリモー
とプレヴェールが作品に込めた精神を受け継ぎ、今回の劇場公開に際しては、日本語字幕翻訳も手がけています。

 宮崎監督は、最も影響を受けた作品を聞かれると、「ポール・グリモーの『王と鳥』をあげないわけにはいかない」と答えます。若き日に高畑監督の勧めで本作を見た宮崎監督は、その表現と着想に驚嘆し、『未来少年コナン』、『長靴をはいた猫』、『ルパン三世 カリオストロの城』、『天空の城ラピュタ』、『千と千尋の神隠し』、三鷹の森ジブリ美術館の構造に至るまで、その影響を受け続けているといっても過言ではありません。

 そして、両監督の“原点”とも言うべき本作は、吾朗監督の『ゲド戦記』にも、色濃くその影響を残しているのです。いうなれば、父・ポール・グリモー、息子・高畑、宮崎、そして孫・吾朗という関係が、『王と鳥』とジブリの間にあるのではないでしょうか。