「野中くん発 ジブリだより」11月号

 秋が深まり、気が付くと今年も残り少なくなってきました。スタジオでは10月に入社した動画・美術の新人の研修が続いています。もちろん新作長編も制作中。そんな中、12月からまた、スタジオジブリの展覧会がいくつか開催されます。

 まず、大阪のあべのハルカス美術館では12月2日(土)に「ジブリの立体建造物展」がスタート。東京・長野・愛知・熊本と巡回し好評を博してきた展覧会が関西初お目見えとなります。ジブリ作品に出てくる沢山の建造物に焦点を当てて、各種制作資料、色々な建物を立体化した模型が展示されており、中でも「千と千尋の神隠し」の舞台となった湯屋・油屋の約3メートルの大きな造形物が目を惹きます。建造物展と言いつつ、それだけでなく、建造物を通してジブリ作品の世界にじっくり触れることが出来る内容が恐らく人気の理由なのでは。期間は来年2月5日(月)まで。

 また、福井県立美術館では「スタジオジブリ・レイアウト展」が12月8日(金)から来年3月11日(日)まで開催されます。このレイアウト展は現在10年目を迎えており、これまで国内だけでなく韓国やフランスなどの海外も巡回してきました。アニメーション映画の制作過程で要となる、1カット毎の設計図とも言うべきレイアウト画を約1300点展示しており、ジブリが出来る前に高畑勲監督、宮崎駿監督が手掛けた作品のレイアウトも含まれていて見応えがあります。福井県でジブリの展覧会が開催されるのは初めて。近県の方もこの機会にぜひどうぞ。

 そしてもう1つは、ソウルの世宗文化会館で12月5日(火)から始まる「スタジオジブリ大博覧会 ナウシカからマーニーまで」。これまで六本木を含む5つの会場で多くの方にご覧頂いてきた「ジブリの大博覧会」が、初めて海外で開催されます。膨大な数の資料でジブリ30年の歩みを体感出来るこの展覧会、韓国ではどんな反応があるでしょうか。来年3月2日(金)までの予定です。

 最後になりましたが、鈴木敏夫プロデューサーの書についての初めての本『人生は単なる空騒ぎ │言葉の魔法│』が近日中にKADOKAWAから発売されます。〝手書きの「書」から紐解く鈴木敏夫の「言葉」〞。また、文春ジブリ文庫では11月9日(木)に『ジブリの教科書 崖の上のポニョ』が発売されました。シリーズも巻を重ねて17冊目。どうぞ宜しく。