「野中くん発 ジブリだより」 4月号

 現在スタジオジブリでは、夏公開の「風立ちぬ」(宮崎駿監督)と秋公開の「かぐや姫の物語」(高畑勲監督)を鋭意制作中です。もろもろの情報につきましては、すみませんがもう少しお待ち下さい。

 さて、映画制作以外の話題を2つほど。まず、4月10日(水)に文春ジブリ文庫がスタートします。文春文庫でジブリ作品とそれに関連する本を連続で刊行するこの企画、大きな柱は『ジブリの教科書』と『シネマ・コミック』の2つのシリーズです。『教科書』は、1冊につき1作品をテーマにし、評論、解説、制作当時のインタビュー、資料等を書き下ろし・再録織り交ぜて収録。その名の通り、1冊でその作品を多面的に知ることが出来る〝教科書〞を目指します。一方の『シネマ・コミック』は、いわば〝読む映画〞。画像をコマ割りしてページに配し、吹き出しでセリフを表示し擬音も入れて漫画風に映画を構成した本です。今までにもそうした本はありましたが、今回は新編集で1作品1冊。『教科書』『シネマ・コミック』は各作品同時発売で、刊行は作品の発表順を予定しています。4月刊行は「風の谷のナウシカ」で、『教科書』での書き下ろしは立花隆、内田樹、椎名誠、伊藤理佐ほかの各氏と豪華。また、大塚康生さんの『作画汗まみれ』も、改訂最新版として同時に刊行されます。以後、5月は「天空の城ラピュタ」、6月は「となりのトトロ」、10月は「火垂るの墓」を予定。どうかご期待下さい。

 もう1つの話題は「もののけ姫」の舞台化です。4月29日(月・祝)から5月6日(月・祝)まで約1週間、アイアシアタートーキョー(渋谷区神南)で上演されます。劇団はイギリスの新鋭若手劇団、ホール・ホグ・シアター。元々、このお話はニック・パークさんから宮崎駿監督宛に昨年5月、依頼があったことが始まりです。ニックさんはホール・ホグ・シアターを高く評価しており、それで同劇団の「もののけ姫」舞台化希望を取り次ぎ、推薦しました。テスト映像を見た宮崎監督はそれを気に入り、他ならぬニックさんからの依頼ということもあって、初めて自作の舞台化を許諾したわけです。当初はイギリスで短期間の公演のみというお話でしたが、ドワンゴ会長兼ジブリプロデューサー見習いの川上量生さんが日本への招致を希望し、この度日本公演が実現しました。私もどんな風に舞台化されるのか興味津々です。詳しくは公式ホームページをご覧下さい。http://mononoke-hime.jp