「野中くん発 ジブリだより」8月号

 ここ10年、東京都現代美術館で夏に行われる企画展示は、ずっとジブリが関わってきました。「男鹿和雄展」「スタジオジブリ・レイアウト展」「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」など、ジブリ作品が展示の柱になる企画もあれば「ディズニー・アート展」「メアリー・ブレア展」「フレデリック・バック展」など、そうでないものもありましたが、その流れで今回も企画制作協力として参加しているのが、現在開催中の「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」(主催:東京都現代美術館、日本テレビ等)です。この10年、担当のイベント事業室も、経験を重ねて技量を向上させてきました。もちろんいろんな方々の協力があってのことですが、ともかく、今回は10回目を飾るにふさわしい、一段と見応えのある展示になっていると思います。展示品は500点以上。

 実際にこの「特撮博物館」を見て強く感じたのが、何と言いましょうか、〝熱気〞です。館長の庵野さんの熱い思いを受け止めて、スタッフが本当に精魂込めて展示を作りあげているのが伝わってきます。加えて、展示してあるのは有名特撮作品ゆかりの品々のオンパレード。そうした特撮作品の制作に携わった当時のスタッフの熱気も、併せてこちらに伝わってきます。実際に使われたミニチュアの実物が、今、目の前にある。実物の持つ力は、やはり相当なものです。

 また、ミニチュアの展示だけでなく、特撮の現場を体験出来るというのも、今回の展示の大きな特徴でしょう。撮影現場を再現した特撮スタジオ・ミニチュアセットは現場の熱気を疑似体験出来ますし、気分を切り替えれば、自分自身が特撮映画の主人公になったような感覚も味わえます。このコーナーは写真撮影も可能なので、楽しみはますます膨らみます。特撮美術倉庫も凝っています。撮影所の倉庫を再現したコーナーで、ここでもまるで自分が特撮映画のスタジオにいるかのような気持ちに浸れます。

 そして9分の新作特撮短編映画「巨神兵東京に現わる」。この会場でのみ観られるスペシャル映画ですが、鑑賞後にはメイキングも詳しく紹介されており、特撮技術の秘密が分かってますます興味は深まります。

 今回の展示は、どんな人でも必ず楽しめる、おもちゃ箱のような楽しさがあり、お陰様で評判も上々のようです。会期は10月8日(月・祝)まで。皆様、どうかお誘いあわせの上、会場にお越し下さい。