「野中くん発 ジブリだより」 9月号

 スタジオジブリの最新作、宮崎駿監督作品「風立ちぬ」は依然としてヒット中。本当に有難いことです。海外での上映も始まりつつあります。この号が出る頃には終わっていますが、この作品はベネチア国際映画祭のコンペティション部門に招待され、9月1日(日)に公式上映と記者会見が行われました。海外上映の先陣を切る形です。同映画祭ではこれまで「ハウルの動く城」がオゼッラ賞を、また、宮崎駿監督が栄誉金獅子賞を受賞しています。最終日が9月7日(土)なので、すでに選考の結果は出ているでしょうが、果たして今回はどうだったでしょう。海外の映画祭ではもう1つ、トロント国際映画祭での上映も発表されました。ベネチアもそうでしたが、試写を観た映画祭関係者がとてもこの作品を気に入ってくれて、是非にと強いオファーがあり、参加が急遽決まったものです。こちらは9月11日(水)に、スペシャル・プレゼンテーションのカテゴリーで上映される予定です。トロントについてはグランプリ等の選考がないノン・コンペティションの映画祭ですが、北米での上映はヨーロッパとはまた違った反響がありそうで、興味深いです。劇場公開については韓国、台湾、香港、フランス、北米などいつも通り世界の様々な地域で「風立ちぬ」は上映される予定です。

 さて、発表といえば、高畑勲監督作品「かぐや姫の物語」の公開日が"11月23日(土・祝)"と先月中旬正式に発表されました。秋公開はジブリとしては「ハウル」以来2作目。制作スタッフはこの日の封切りを目指して、日夜追い込みを続けています。スタジオジブリでは例年、お盆を含む1週間を夏休みとしており、今年は8月10日(土)から8月18日(日)がそうでした。いつもですと、長編1本を作り終えた年の夏は制作スタッフはきちんと夏休みが取れるのですが、今年は「風立ちぬ」を終えた後、「かぐや」に引き続き取り組むスタッフも多く、そうした人や、元々「かぐや」のスタッフだった人は、ほぼ夏休み返上で作業を続けました。もちろん「かぐや」終了後はその埋め合わせをしますが、ともかく異常な暑さだったこの夏休み中も、多くのスタッフが熱い作業を続けていました。頭が下がります。

 というわけで、まだまだ上映が続く「風立ちぬ」、いよいよ公開日が決まった「かぐや姫の物語」、どちらもどうか宜しくお願い申し上げます。