2001年8月の出版部だより 

■2001.8.24   出版部より
重版したアニメージュ文庫「話の話」(解説/高畑勲)をもって、ノルシュテインさんに重版本の担当者としてお会いした。
映画祭のために来日中のノルシュテインさんは、通訳の児島宏子さんを通じてこんなエピソードを話してくれた。
「ソビエトで、「話の話」の本を作ってほしいという話をした時、関係者は渋ったんだ。その時、僕は日本ではこんなふうに本になっているんだよと、とこの本を見せたんだよ」と。
ソビエトの出版関係者は多分、そんなに売れる本ができるとは思わなかったのだろう。日本でもこの文庫は作る時、たくさん売れる本だと思って作られたわけではない。当時「アニメージュ」の副編集長、いまはジブリの責任者である鈴木敏夫プロデューサーが高畑監督のすすめもあり、この作品にほれこみ、「作ってしまった」のだ。
その本が、初版から17年たって重版し、すぐに3刷りが少部数ながらかかった。
ノルシュテインさんはもちろんだろうが、本を企画・編集する側にとっても、こんなにうれしいことはない。時間を超えて生き残る本を作れたし、それにかかわれたということなのだから。
高畑監督の目の確かさと、鈴木プロデューサーの実行力に敬意を表したいと思う。
■2001.8.8   出版部より
「千と千尋」のジ・アート、なんとか予定とおりに8月6日見本でできあがった。相変わらず、ずっしりと重い画集的要素の強い本だ。
画集となれば、デザイナーの腕のみせところ。この本では、ジブリ作品の宣伝をてがけてくれている会社のデザイナー・原さんと若いスタッフ細川さんと折原君の3人がひっちゃきになってやってくれた。
原さんは、「千」の宣伝広告すべてに関わっているだけあって、その色についても熟知している。なにしろ、今回はオールデジタル作品。美術ボードにしても背景画にしても本来の色と若干ちがう。簡単にいうと、本物より明るめの仕上がりになっている。
色校正の1度目、残念ながら、その色はでなかった。原さんは、印刷所の担当者と話し、これは校正するに値しないと、赤をいれずに、そのまま印刷所に戻した。
この的確な判断が、編集担当者としては心強い。ぐちゃぐちゃ赤をいれるより、そのほうが、いいものを次に印刷所はだしてくるのだ。案の定、二度目は、いい色がでてきた。
若手二人は、コンピュターを使ってのデザインのエキスパート。手付きがえらく、すばやい。原さんの指示をすばやく形にしていく。このスピードがないと、映画公開からできるだけ早い形で、本にすることができない。
3人とも、ほぼ、1カ月、土曜の休みも満足にとれない状態での仕事をしてくれた。その結果のジ・アート、映画だと一瞬にしかならない美しい背景画が、好きなだけ眺めていられる。
ぜひ、本屋さんで手にとっていただけたらと思う。
■2001.8.8   お知らせ
「庵野秀明のフタリシバイ〜孤掌鳴難〜」発売から2週間がたち、アンケートはがきも徐々に返ってきています。「各対談ごとに様式が違って、サービス精神が旺盛だと思った」「宮崎さんとの対談も載せてほしかった」などの感想やご意見、どれもこれからの本づくりの参考になります。有り難うございます。庵野監督へのメッセージも多数いただいています。ちゃんと本人にお伝えしますのでご安心を。
さて、庵野監督のサイン会が、新たに決定しましたのでお知らせします。下記に詳細をまとめました。多くの方の参加をお待ちしています。

[庵野秀明サイン会のお知らせ]*このサイン会は終了しました。

日時:9月9日(日)14:00〜
場所:くまざわ書店八王子本店6階
(最寄り駅:JR八王子北口駅前・京王八王子駅から徒歩7分)
お問い合わせ先:くまざわ書店八王子本店
(TEL 0426-25-1201/営業時間9:00〜22:30)

◇くまざわ書店本店で上記の本をお買いあげの方に、整理券(先着150名)を配布中。
◇サインの対象は、「庵野秀明のフタリシバイ〜孤掌鳴難〜」(徳間書店刊)のみとさせていただきます。
■2001.8.2   お知らせ
渋谷、名古屋に引き続き、札幌で開催されている「ルパン三世」TV放送30周年記念のイベント展示『Lupin the Third Exhibition』の会場で、大塚康生さんのサイン会が行われます。
サインの対象になるのは、「ルパン三世」ファーストシリーズの制作当時の状況も記録されている大塚康生著「作画汗まみれ(増補改訂版)」です。
会期中に会場で本書をご購入いただいた方のなかで希望された方に、整理券(先着100名)を配布しています。ふるってご参加下さい。

[大塚康生さんのサイン会 in 札幌のお知らせ]
*このサイン会は終了しました。

日時:8月11日(土)14:00〜
場所:札幌パルコ7階特設会場
お問い合わせ先:札幌パルコ(TEL 011-214-2111)

展示会詳細
タイトル◇『Lupin the Third Exhibition』〜featuring  峰不二子〜
会期◇8月3日(金)〜20日(月)
時間◇10:00〜20:00(最終入場19:30)
入場料◇無料
■2001.8.1   お知らせ
「千と千尋の神隠し」公開を記念したブックフェアが全国多数の書店で開催されている。
3日ほど前からこのフェア開催書店を徳間書店ホームページで紹介しており、このジブリ出版部のホームページからもリンクをはった。フェアに向けて用意された本のラインナップはすでに「ジブリ関連書」のところで▼の印をつけてお知らせ済み。ぜひ出かけてみて下さい。


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