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「ゲド戦記」制作日誌

2006年5月29日

冷静と情熱の攻防

 
 こんにちは。

 不定期更新になったとたん、身近な方々からワッと感想を頂くようになって、驚いています(笑)


 今日は、映像が完成して初めての月曜日。
 定例の制作会議が無い月曜日って、なんて素晴らしいんでしょう!(赤毛のアン風)

 映像制作現場は、とても静かですが、コントロールルームの様子を映し出しているポストプロダクション班のモニターからは、俳優さんの熱演する声が響いてきます。
 
 
 そう。

 「ゲド戦記」のアフレコ作業はまさに佳境。


 ゴロウ監督以下、音響スタッフは、休日返上でコントロールルームにこもり、キャラクターに声をあてて下さる俳優さんと共に、映像に命を吹き込む作業に没頭しています。
 
 
20060529_control.jpg
『左がゴロウ監督・となりは整音の高木さん(3児の父)』
 
 
 僕も仕事の合間にのぞかせてもらっていますが、アニメーションの醍醐味は、スタッフ一人ひとりが描いた絵に声が吹き込まれる事によって、キャラクターのイメージが、大きく飛翔する場に立ち会えること。

 役者さんの息づかいや、役に没頭してゆく事によって高まってゆく感情……その他、様々な要素が、僕ら映像制作現場スタッフの想像を超える、新たな映画の世界を創り出すのです。


 そんな、アフレコ中の出来事。


 鈴木プロデューサーが、突然叫びました。


 
 「暑い!」


 
 今日、東京は、空気に湿気がこもって、蒸し暑い午後となりました。

 アフレコ作業を行うコントロールルームには当然、冷房が入っているのですが、ゴロウ監督が座る席の上に、丁度冷房の吹き出し口があり、直接風が当たると冷えるので、風力を「弱」にしていたのです。
 
 
20060529_kufu.jpg
『風が直接あたらないように工夫されています』
 
 
 ところが、鈴木プロデューサーは、宮崎駿監督と並んで、ジブリきっての暑がり。


 
 「もっと下げて!」


 
 と、譲りません。

 困ったのは、ポストプロダクション班の古城さん。

 演技指示の為に、試写室へ降りているゴロウ監督が戻ってきたら……


 
 「寒い!」


 
 と言うに決まっているのです。


 困っている古城さんに業を煮やした鈴木プロデューサー、立ち上がって自ら冷房のスイッチに手をのばし、ひたすら「下げる」ボタンを連打!


 10分後、コントロールルームは、鈴木プロデューサー以外のスタッフにとって、「冷蔵室」と相成りました。

 ガタガタ震える僕らを尻目に、鈴木プロデューサーは文字通り「涼しい顔」。


 でも僕は、その5分後に、古城さんがコッソリ、温度を上げてくれたのを見逃しませんでした(笑)


 今僕は席に戻っていますが、きっと鈴木プロデューサーが、


 
 「暑い!」


 
 と叫んでいる事は間違いありません(笑)