2001年9月の出版部だより 

■2001.9.17   お知らせ
 まもなく「三鷹の森ジブリ美術館」がオープンします。現在、試行期間としてプレオープンが始まっており、ジブリ関係者らもこの前の土曜・日曜に招待で多くの人が見学に行きました。美術館へは三鷹駅から玉川上水に沿って歩いていくのですが、美術館に着くまで緑の並木がずーっと続くので、気持ちいい散歩も楽しめます。駅から美術館への15分間の道が緑の回廊になっているのは東京ではめったに経験できない贅沢だと思うので、静かな散策が趣味の方にはオススメです。
 さて、美術館のオープンを記念してコンビニエンスストアのローソンでは店頭設置のLoppi、インターネットの@LAWSON、i- LAWSONで絵コンテ全集シリーズ「千と千尋の神隠し」(10月17日発売)の予約販売も行います。予約期間は9月15日〜10月10日と10月11日から10月31日の2回です。
 予約販売ではこの他にも、美術館オリジナルグッズや限定復刻アイテムなど用意しているとのこと。興味をお持ちの方、もっと詳しく内容を知りたい方はローソン店頭の『三鷹の森ジブリ美術館─ジブリがいっぱいカタログ』をご覧下さい。
■2001.9.7   出版部より
 去る9月2日、青山ブックセンターの本店にて7月中旬に発売された『庵野秀明のフタリシバイ』の発売を記念してのサイン会が行われました。
 約1時間前に会場に行ってみると、サイン会を企画した青山ブックセンターの高橋さんや後藤店長をはじめお店の皆さんが、すでに横断幕や机に飾る秋らしいお花などを整えているところでした。
 庵野監督も、黒いTシャツ、短パンに、リュックを背負った普段通りの出で立ちで、早めに到着。「せっかく本屋に来たから」とさまざまな本を物色していて、開始前にさっと1冊を手に取りレジで購入していました。
 さて、サイン会では、サインの後、握手をしたりしながら言葉を交わす時間があります。短い時間のコミュニケーションですが、それぞれに楽しんでいただけたならばなによりと思っています。集まった方は20代の男性が多かったのですが、「自分も宇部だけど」と同郷の方ならではの会話をしていた50代くらいの男性や、「『式日』見ました。良かったです」「『24人の加藤あい』(深夜のテレビ番組で先日庵野監督が出演)面白かったですね」などの感想を伝える若い女性の姿が印象的でした。
 最終的に来場者は約1時間半で120名を超え、盛況の内に無事終了することができました。参加いだいた皆さん、お店の皆さん、そして庵野監督、ありがとうございました。
『庵野秀明のフタリシバイ』は、8月中旬に重版が決定し、今月上旬から2刷も店頭に並びます。まだ手にとっていただいていない方にも、興味を持ってもらえると嬉しいです。
 9月9日には、八王子のくまざわ書店でも14:00よりサイン会が行われます。たくさんの方の来場をお待ちしています。(T)
■2001.9.1   出版部より
 8月30日、ジブリの本社である徳間書店の販売部でこんな話を聞いた。
「なんだか、突然、ナウシカの原作コミックの注文が取次から1000冊もきたんだ。なにが理由だろうと思ったら、今週号の週刊文春の立花隆さんの連載『私の読書日記』に『千と千尋の神隠し』を見にいったことから、本屋にジブリコーナーができている。すぐに本屋に走って、マンガ『ナウシカ』を読むべきとあった。原因はこれだね。ありがたいね」
 この書評、私も読ませていただいた。ずいぶんといろいろなジブリ関連書をとりあげてくださっている。なかでも私がびっくりしたのは「案外に面白いのが『スタジオジブリ関連資料集』」と書いてくださっている点だった。
 この本、「ラピュタ」なら「ラピュタ」のチラシ、ポスター、パンフ、プレスシートといわゆる資料ばかりを集めた本なのだ。それを評価をしてくださっている。
この本が企画された時、編集側も本当にこういう資料ばかりの本が売れるのかという懸念があった。何も新しい情報がはいっていない本が売れるだろうかと。
 しかし、発売されてみたら、重版した。そして、立花さんのように「面白い」と言ってくださる人もいる。
 これはどういうことなのだろう。
本の存在価値の意味のひとつに「誰かの役にたつ」ということがあると思う。この本はそれに値するかもしれない。
「あのパンフ買い忘れた。あのポスター、引っ越しの時、なくした」などという人には、もっていたかった過去の資料が縮刷版のようにはいっていることで、これ1冊あれば役にたつという本になっていることは事実だ。
 宮崎監督がよく「半径3メートル以内で人は生きている。その範囲で仕事も恋愛もしろ」と言う。これは、人が本当に必要なものは、自分の周囲にあるんだと、監督は言っていると私は解釈している。
 編集の仕事をしていると、つい新しい情報ばかりに目がいく。そして、すんだものは「はい、おしまい」と自分の記憶から消してしまう。しかし、この本は、社内の半径3メートル以内にある過去の資料だけで人の役にたつ本になったというわけだ。
「まだまだ、編集者修行が足りない!」と思わせる、立花さんの文章でした。


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