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2006年5月11日

第八十七回 時間をも変える音の力

最後のカッティングが終わろうとしている一方で、
すでにカッティングの終わっているロール1~4までは、
音楽に加えて、効果音、アフレコの作業もどんどん進んでいます。

仮のものとして全ての音をのせた状態で映像を見てみると、
今までとは全く違って見えることに驚きます。
それは、世界が広がって豊かに見えてくるということだけでなく、
時間の感覚までもが変わってしまうのです。

極端に言えば、
時間がそれまで見ていた感覚の1/2ぐらいに感じるのです。
音の付いていないときはゆったり歩いていたはずのシーンが、
あっという間に終わるように感じたり、
アクションシーンでは小気味よさが倍増したりといった感じです。

耳からも情報が入り始めると、目からの情報は半分ぐらいしか
頭に入らなくということでしょうか。
普段は意識しませんが、いかに音の力に引っ張られて
映像を見ているかがよく分かります。

そして、音の力によっていくらでも印象が変わってしまうことに
驚くとともに、恐ろしくもなります。
その力を上手く使えば、作品はより良い方向に行くのでしょうが、
下手をすれば意図した作品にはならなくなってしまいます。

なにしろ、音関係の作業にかけられる時間は、そんなに多くありません。
最後の最後で、全てがオジャンにならないよう耳を澄ませる日々です。