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2006年4月19日

第七十四回 影との戦い

前回、光と闇のことを書きました。
今回は光と影の話です。

以前にも書いたと思いますが、
キャラクターについては、
なるべくシンプルな絵作りを心がけるようにしました。
それは、キャラクターが
より力強い存在になることを望んだからです。

その一環として、キャラクターの影をどうするか
という問題がありました。
影といっても、心の中の影ではありません。
光を受けて生じる影のことです。

初めのころは、極力影をなくす方向で考えていましたが、
それが簡単なことではないことは、すぐに分かりました。
理由は、やはり影があった方が、豊かに見えるからです。
真っ先にそのことを指摘したのは、色指定の保田さんです。

それではということで、
ざっくりとおおらかに影をつける方向に
方針を修正していきましたが、
今度はそのつけ方が問題になりました。
というのも、前回書いたように、暗い場面が多いからです。
光源の位置や強さをきちんと意識しておかないと
チグハグな感じになってしまうのです。
影はなければいい、ついていればいい、
という訳ではないのです。

以前、ロシアのアニメーション作家である
ユーリー・ノルシュテインさんにお話を伺ったとき、
「映像は光と影によって作られている」
とおっしゃっていたことを思い出します。
その時は「なるほど」くらいにしか思っていなかったのですが、
今になって、それが何を意味しているのかが
身をもってわかるようになりました。

時々、演出の山下さんと
「ゲド戦記」ゆえに「影との戦い」になってしまった、
などと話しているのでした。