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2006年5月 3日

第八十三回 テルーが歌う

すでに予告編をご覧になって、
「テルーの唄」を耳にされている方も多いと思います。

この歌は映画「ゲド戦記」の本編中、
物語の大切な鍵になるシーンに流れる挿入歌です。
それも、BGMとして流れるのではなく、
テルーという少女が歌う歌なのです。

このシーンは先日カッティングが行われた
3・4ロールに含まれていて、
歌とキャラクターの口の動き、
さらにカットの流れをあわせる必要があることから、
唯一、音を聞きながらの編集となりました。

このシーンの原画は賀川さん、
背景は男鹿さんが担当しています。
賀川さんはジブリ美術館で上映中の短編「星をかった日」の
演出アニメーターをつとめたベテランアニメーターです。
彼女は、大きな笑い声が強烈なインパクトをもつ人物ですが、
その豪快な印象とは裏腹に、
とても柔らかくて、優しい絵を描く人です。
そして、男鹿さんは私が説明するまでもなく、
美しい自然描写の名手です。

完成した画面は柔らかい美しさに満ちていて、
そこに歌が合わさったとき、
カッティングの最中でありながら、
思わずその世界に入り込んでしまうようでした。
それほどに、歌と画が寄りそいあった
素敵なシーンになったのです。
絵の力、そして歌の力に感じ入った瞬間でした。