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「ゲド戦記」制作日誌

2006年4月20日

バテバテ博士

 
 ポン ポン


 今日も、両手でお腹を叩きながら、あのヒトが制作部にやってきます。


 ポン ポン


 管理部の一村さん。

 ジブリに古くから棲むスタッフのひとりで、その博覧強記ぶりから、宮崎駿監督に「教授」と慕われるこの人。
 表に出せないアニメーション界の裏話から、古今東西の歴史談義、はたまた東小金井周辺のグルメ情報まで、一度この人に捕まると、30分は逃げられない。名付けて、ジブリを徘徊するエンサイクロペディア。


 この一村さん、一日に数回、仕事に疲れると制作部にやってくるのです。

 昨晩は、ため息をつくなり、こう言いました。


 一村さん「春バテだ~」

 渡辺さん「……春バテって、何スか?」


一村さん「僕はネ。今の様に寒暖の差が激しい季節は、体温調節がついていかなくて疲れるんですよ。ホラ、あまり汗かかないでしょ、汗腺が少ないんですよ、ボクは。夏は大丈夫なんだけどネ。ずっと熱いから身体が慣れてくるでしょ。でも、この時期はさァ……(以下略)」


 こうして、またまた、渡辺さんの仕事はストップしてしまいます。


 一村さんが立ち去ったあと、渡辺さんが、ポツリ。

 
 渡辺さん「春バテ……って、なァ」

 僕「きっと次は、梅雨バテですよ」

 伊藤くん「その次は夏バテだね」

 齋藤くん「一年中、バテているからなァ……」


 こうして、ジブリの夜はふけてゆきます……。