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2006年3月 1日

第四十四回 「動かす」ためのシンプルさ

先日、シンプルな絵を目指す理由として、
「言葉」をより力強く伝えるためと書きました。

キャラクターの絵をシンプルにすることのメリットは他にもあります。
それは、「動き」についてです。

昔、教科書のページの隅に描いた
パラパラ漫画を思い浮かべてください。
アニメーションとは、その動きの一瞬一瞬を、
アニメーターが一枚一枚紙に描き、それを連続して見せることで、
あたかも動いているかのように見せる技法です。
つまり、あえて乱暴に言えば、
キャラクターが緻密に描かれていれば、
一枚あたりに費やす労力が大きくなり、アニメーターの負担が増え、
逆に、線の少ないキャラクターだと、
一枚あたりの労力は減ることになります。

そして現実的には、制作にかける期間と
アニメーター一人ひとりのエネルギーには限りがあります。
その結果、緻密な絵のアニメーションは、動きで見せるというよりも、
往々にして、ディティールが描き込まれた絵そのものを見せる
という方向に流れてしまいがちになります。

では、時間と労力をつぎ込んで、
緻密な絵を存分に動かせば、よい作品ができるかというと
必ずしもそうでないと思います。