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「ゲド戦記」制作日誌

2006年2月27日

水と油

 
 今日の東京・東小金井は、ひんやり曇り空です。


 昨日は、冷たい雨が降り続けました。

 雨の日に、制作部を悩ませるのが、背景やカットの移動。
 ジブリは、第1スタジオ(1スタ)から第3スタジオまであって、1スタから2スタは、建物が分かれています。(ちなみに2スタと3スタは渡り廊下でつながっています)

 現在、キャラクターを作画しているのは1スタの2階ですが、背景美術部は2スタの2階で作業をしている為、カットの移動には、いったん外に出なければなりません。
 
 その距離、道路を挟んで10メートルほど。
 
 ちょっとした小雨ですと、傘をさすだけで良いのですが、雨脚が強いときには万全の対策が必要です。
 背景は、ポスターカラーという水性の絵の具で描かれているため、雨粒が一滴でもついてしまったら、絵が流れ出してしまうのです。

 現場では、カット袋という、厚手の紙で作られた封筒に入れてカットを移動させるのですが、水が染みないという保証はありません。第一、濡れたカット袋を手渡されたスタッフが、気持ちよいハズありませんよね。


 そこで登場するのが、ビニール袋。


 カット袋をビニール袋に入れて、閉じ口をキッチリとガムテープでふさいで、運んでいます。


 それでも注意しなければならないのが、袋から出すとき。
 袋についた水滴が、ちょっとでも背景に触れてしまったらアウトなのです。その為、乾いた雑巾とティッシュペーパーも欠かせません。

 
 ちなみに、作業テーブルに背景を並べるときに、最も注意しなければならないのが、ポテトチップスのくず。この上に背景を載せてしまうと、ジワーッと油が表に染み出て来て、絵を台無しにしてしまうのです……!
 
 
 水と油にご注意を……というお話でした。
 
 
20060227_cut_bukuro.jpg
『灰色がキャラクター・緑が背景のカット袋。今日の日付で揃えてみました(笑)』