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2005年12月20日

第五回 自分自身が真の敵だった

それまで、魔法使いの物語のイメージといえば、
無力で善良な主人公が魔法の力を身につけ、
倒すべき悪者や、克服すべき環境を、
いかに乗り越えるかというものでした。

しかし、20年前に読んだ『ゲド戦記』第一巻は違いました。
自分自身こそが、真の敵なのです。

少年ゲドは、貪欲に魔法を習得していきますが、
心の成長が、その持てる力に追いつかず、
知らず知らずに、己の中に高慢と憎しみの心を育ててしまいます。
そしてついに、その心は邪悪な影となって自分自身の前に、
そして世界の前に立ちはだかるのです。

真の敵は自分自身であり、
敵に勝つとは自分自身に勝つこと。
己の影に追われ、向き合い、そして対決する。

これはたまらない魅力でした。
物語として新鮮だったこともありますが、
なによりも、当時の私自身が「自分が成長するということ」に
大きな関心があったからです。

今日に至るまで、この第一巻「影との戦い」のテーマは、
ファンタジーの世界に、とても大きな影響を与えてきました。
今や、このテーマを扱った物語は数知れずあります。
だから、もしかしたら、
これをありふれたテーマだと感じる人がいるかもしれません。
しかし、この『ゲド戦記』第一巻ほど
心の中の「光と影」の問題を深く描いた物語を、
私は、いまだ知りません。


追記
今日は、だいぶ暖かく感じました。
このところ、だいぶ冷え込みましたが、
実は先日、夜、庭で煙草をふかしているとき、
ある発見をしました。
明日はちょっと寄り道して、
それについて書こうと思います。