2007年11月

11月1日(木)
今日から11月。今年の秋は気温が高く、なかなか秋めいてこないと思っていたのだが、ジブリの社屋に絡まるツタを見上げると、いつの間にか紅葉が始まっている。そろそろ、朝晩の冷え込みも始まったし、季節は確実に進行しているのですね。
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「スタジオのツタも黄色くなってきました」


11月2日(金)
本日は「ポニョ」のラッシュの日。今日のラッシュは15cut。ここ数週間、ラッシュで行われるcut数が少なくなってしまっている。やはり作監・動画上がり数が少ない為、仕上げ作業に回せるcutが少なくなってしまい、厳しい状況が続いています・・・この状況が続けば続く程後半の巻き返しがキツクなるので、早めにこの状況を打開しなければならないと感じている制作部なのである。

夕方、「1スタ1階のバーに、すごいものが届いたから見に来て」という連絡がPD室室長の白木さんから入る。何だろうと思って出かけたら、確かにすごい花が届いているではないですか。徳間ジャパンを傘下に持つ第一興商の保志さんから、中日ドラゴンズ日本一のお祝いの花だ。こんな気の利いたことをやらかしてくれるのは、保志さんだけ。鈴木さんが大ウケで喜んでいたのは言うまでもなく、スタッフもみんな大爆笑だった。保志さん、いつもありがとうございます。
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「バーに届いた見事な花です。ありがとうございました」
 
 
11月4日(土)
第12回アニメーション神戸で高畑監督が特別賞を受賞することになり、広報部は神戸まで日帰り出張する。表彰式では、顔見知りの人にたくさんあったし、実行委員長の神谷明さんは、小さいころからアニメーションで育ってきた自分たちには憧れの人だったのだが、お会いしてみるととても親しみやすく話しやすい方だった。ただ、現在のアニメーション業界に対してもかなり問題意識をお持ちのようで、いろいろと印象深かった。
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「市長も出席する立派な表彰式でした」

空き時間に高畑監督とコーヒーを飲みに出かけたのだが、その商店街の入り口にあった、「神戸屋」という喫茶店が時代が止まったような雰囲気を醸し出す不思議なお店だった。メニューにも「トース」という不思議な文字が並び、ほかに来ているお客さんはおばあさんの二人連れだけだった。また、値段がびっくりするほど安く、コーヒー一杯250円、オーレが300円という、いつの時代だろうという価格。入り口に掲げてあったモーニングサービスは、トース(ト?)か卵がついて270円なのだそう。先週、「続・三丁目の夕日」を見たばかりだが、まさに昭和の匂いがする空間だった。神戸、侮れません。
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「昭和の雰囲気漂う店内の様子」
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「"トース"とはなんぞや?」
 
 
11月5日(月)
月曜日は毎週、美術監督の吉田さんと今週内に作業する事をリストアップし確認を行なう打ち合わせをしている制作部。
制作状況も追い込みに入り、なるべく各部が効率良く作業が進められる様に、吉田さんには美術各人に作業してもらうカットと背景上がりとして出していくカットを細かく指定して作業を行なってもらっている。時間とカットに追われながらも、制作部に回ってくる背景のどれもすべてが、とても優しくそして温かい。追い込みの緊迫した状況の中で制作陣全員がその優しい背景を見て、どれだけ心を落ち着けられたことか。宮崎監督が「今回の背景は、吉田さんの人柄そのもの!」と繰り返し言っているのが、本当に良くわかる。来年の夏には、きっと沢山の人に吉田さんの人柄が伝わる事だろう。
 
ロシア文化フェスティバルのパーティに出かける「雪の女王」チーム。都内のホテルで行なわれる、VIPも参加しての大きなパーティに、正直なところ、居心地が悪く、なんとなく場違いな感じが否めない。ただ、日本語訳を初め、とてもお世話になっている翻訳家の児島宏子さんにいろいろ優しくしてもらって、本当にありがたいことだなあと思い、感謝した夜であった。
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「やはり、ロシアのパーティ。赤が印象的でした」
 
 
11月6日(火)
今日は、特別なシーンを担当している原画さん二人とスケジュールの打ち合わせを行なう。特別なシーンとは、映画のタイトルを出すオープニングシーンの事。オープニングシーンは、本編の作画スタイルとは全く異なるスタイルで描かれる事になっている。
先週1cutそのシーンの原画が上がった為、メインスタッフでそれを見ながら各セクションでどういった処理を行なっていくのかが話し合われた。制作部は担当原画の二人にその内容を伝え、どういうやり方でペースを上げていくのかを相談して今後のスケジュールを見据えながら話し合いを行なった。このシーンは原画の作業量も相当重いので、1cut1cut予定を立てて進めなければならず、とても渋い打ち合わせとなった。最後に「頑張ります!」と席に戻っていく二人に、深々と頭を下げる制作部であった。
 
会社のいたるところで甘い香りがただよっている。先週、な○○○さんからスタジオのスタッフに届けられたラフランスが、丁度食べごろになってきたのだ。さっそく、打ち合わせに、PD室のまゆちゃんがむいてくれたラフランスが差し入れられて、みんなで美味しく頂く。本当に、美味しい秋の味覚でした。
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「みずみずしくて、甘い香りが漂ってきます」
 
 
11月7日(水)
夜も更けてメインスタッフのブースに行ってみると、宮崎監督の机の横に見慣れない紙が貼り付けてある。それは大きな文字で「ポニョ」の残りのストーリーがシーン毎に大まかに書かれている、シークエンス表だった。これまで最後の部分が埋まっていないシークエンス表は机の横に貼ってあったが、遂に最後まで埋まったシークエンス表が貼り出されたのだ。待望の絵コンテUPも近い!と色めき立つ制作陣。そんな秋の夜長の出来事だった。
 
 
11月8日(木)
天気が良いので屋上に出てみると、いつのまにやら秋の風情。緑の勢いがなくなって、枯れ葉も目立つようになってきた。ふと、藪のなかに白く動くものの気配が...と思ったら、ウシコである。いつの間にか屋上に上がって、本当に気持ちよさそうに昼寝をしていて、ああ、ネコが羨ましいと思う、ジブリの午後なのである。
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「ウシコがどこにいるか、わかりますよね!?」
 
 
11月9日(金)
来週火曜日から三日間、ジブリは恒例の社員旅行を迎える。今回の旅行先は、奈良の□□だ。スタッフも休み時間に奈良のガイドブックを読んでいたり、ネットで調べていたり、とても楽しみにしている様子。追い込みの中、疲れが溜まっているスタッフ達には良いリフレッシュになることだろう。
そんな中、制作部ポスプロ班の古城さんが大宴会の司会を務める事になり、新人のサンキチも飛び切りの演出でスタッフの笑いを取りにいくらしい。是非、制作部として盛大に旅行を盛り上げスタッフの慰労をして欲しいと、他人事と割り切って見守っている他の制作陣であった・・・。
 
 
11月10日(土)
昨日の日誌で書いてあった社員旅行。当然、メインスタッフは全員ジブリに残ってお見送りです。劇場公開が翌年に迫ると、毎作品、同じ状況に・・・。
深夜、美術監督の吉田さんと作画監督補の稲村さんがなにやら話し合いをしているので近づくと、「東北はどうですか?」、「いや、南の方がいいですね~」とか聞こえてくる。そう二人は、来年の社員旅行先の希望を話し合っているのだった・・・。「きっと、二人の希望の旅行先になりますよ」と根拠の無い慰めの言葉を掛ける制作部であった。
 
※どうぞスタッフの皆様、メインスタッフへのお土産は「滋養豊富・風味絶佳」な物にしてあげて下さい!制作部からのお願いです。
 
ヨミウリオンラインの取材で、"モーニング娘。"の高橋愛さんが来社。「雪の女王」を観て、依田記者の取材を受ける。高橋さんは、本当に明るくて素直な女の子でした。時間が限られていたのですが、少しだけジブリの社内も見学してもらい、本人にもとても喜んでいただけたようです。亜細亜大近くの後藤商店のサンドイッチをおいしいと喜んでパクパク食べていただけたことも印象的でした。今度は、ジブリ美術館に遊びに来てください。インタビュー記事は13日の午後からヨミウリオンラインの特集ページ「ジブリをいっぱい」からご覧いただけます。
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「インタビューの様子。依田記者も熱が入っていました」
 
 
(ここから、サンキチ日誌をノーカットでお届けします)
 
11月12日(月)
明日は、いよいよ社員旅行【奈良】です!!
一日目の夜に開催される宴会での出し物で、ベルの演奏を披露することになりました。
本番が近づくにつれて、ベル部員たちのドキドキ度指数は急上昇。
自然と練習にも熱が入り、今日は本番さながらのリハーサルが開始されました。
今回、明日のために用意した曲は2曲。
どちらも、奈良の和の風景にぴったりのものを用意しました。
最初は、しっとりと「日本昔ばなし」の曲を披露する予定です。
そして、最後は座敷にぴったりの曲「笑点」のテーマ曲を演奏します。
どちらも、ベルでやると変わった印象を与えてくれて楽しいものに仕上がりました。
さてさて明日が本番です。出来上がりのレベルは10のうち7.5といった感じでしょうか?
なにせ300人近いスタッフのまえで演奏するのは初めてなので・・・。
ワクワクとドキドキで今夜は眠れそうにありません。苦笑。
たった、2週間という短い練習期間でしたが、後悔しない演奏にしていきたいです。
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「只今、リハーサル中☆本番では座布団の上で演奏する予定!
上の写真はお辞儀の練習をしているところです」


11月13日(火)
今日は、わたくし制作部のサンキチがジブリの初社員旅行についてお伝えします。
まず、今回の社員旅行で感じた最大の感想は、ジブリスタッフ&美術館スタッフの皆さんはなんと心の優しい寛大な方が多いことだろうかと感じたことです。(涙)
どういうことかと申しますと・・・・
 
今回も、中年サラリーマンの悲哀を歌い、団塊世代を中心に支持されている藤岡藤巻さんの藤巻さんが一緒に旅行に参加してくださり、宴会場での出し物で、またもトップバッターを見事に務め上げてくださいました!!
その3曲のうちの2曲は12月5日【水】に発売される
マキシシングル「崖の上のポニョ」の曲だったのですが、ご存知の通り「崖の上のポニョ」という曲はデュエット曲となっており、大橋のぞみちゃんという可愛い女の子が歌っているのです。しかし今回の宴会で、何故かわたくし新人サンキチがのぞみちゃんのパートを歌うことになってしまったのです。
ジブリの社員旅行は、スタジオジブリのスタッフだけでなく、ジブリ美術館のスタッフと一緒に旅行に行くため、ざっと300人近い団体で動くことになります。
こんな大勢の前で歌った経験の無いサンキチは、当然頭の中が真っ白になり、足と声が震え、高音部分では声が出ずに変な音となり、眉間にシワを寄せながら300人の前でオンチな歌声を披露してしまったのです【苦笑】
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(その模様を、当日撮影したビデオからご紹介します By広報部)
 
せっかくの藤巻さんのいい声を私のせいでおかしくしてしまい、凹んでいたのですが、
思いのほか、スタッフが私に掛ける言葉は優しく、慰めて?褒めて?くれたのです【笑】
そんな、沢山のスタッフの優しさ?いや慰め?【苦笑】に触れ、今では逆に、こんな滅多にない経験を与えられたことに感謝しております。【立ち直りの早いヤツです。笑】
しかし、どうやらその日の夜、多くのスタッフの頭の中で「ポニョ」の曲が頭の中で鳴り響いていて眠れなかったらしいです・・・・。
それほど、「ポニョ」の曲は頭に入りやすくて覚えやすい曲なのです!!!
ぜひ、みなさん、12月5日に発売のマキシシングル 「崖の上のポニョ」のCDを買ってみてください!!!!!! と、ちゃっかり宣伝しちゃいます【笑】
でも、本当にテンポが良くてすぐに覚えられちゃうんですよ!!絶対楽しい気分になること間違いないので、期待して発売日まで待っていてくださいね☆
個人的には2曲目の「フジモトのテーマ」も、とても気に入っています。
今までのジブリにはなかった新しい感じの曲に仕上がっており、歌詞がとてもいいです◎こちらにも、ぜひぜひ注目してみてください!!!
 
そして、旅行後、会社でお留守番をしていた制作の渡邊さんと伊藤さんは、
「サンキチどうだった??」と、興味津々で聞いてきます。
「高音が出なくて大変でした」と伝えると・・・
「サンキチ、おいしい役やったねぇ。シメシメとニタリ顔。」旅行に参加していないはずのお二人が、一番楽しそうな顔をしていることに気づいたサンキチ・・・。
お陰で私は、緊張で寝られませんでしたぞよぉぉぉぉぉぉ【苦笑】
 
 
11月14日(水)
社員旅行2日目を迎えました。
今日は、一日中自由行動ということで、世界遺産ツアー(高野山)へ行く者、自転車や車をレンタルして遠くまで出掛ける者、旅館周辺を散策して楽しむ者、山登りや神社めぐりを楽しむ者、京都まで出て行く者など、皆それぞれに旅行を楽しんだようでした。
そして、なんといっても2日目の夜の澄み切った夜空に輝く満点の星たちが大好評で、
ほとんどのスタッフが夜な夜な旅館の庭やら公園やらに出て行き、流れ星を見つけては感嘆の声をあげていました。
東京ではなかなか味わえない最高の夜をそれぞれが満喫できた日となりました。
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「緑・赤・黄色のコントラストが綺麗でした◎」
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「今日は快晴だったので青空へ影おくりをしました【笑】」
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「お土産屋さんでホラ貝を一生懸命吹くIさん。お値段9万円!!」
 
 
11月15日(木)
今日は、社員旅行最終日です。
午前中は、奈良ツアーが組み込んであり、奈良の大仏を見たり、鹿にせんべいをあげたり、美味しい葛餅やら抹茶やらを堪能する者や、博物館や美術館を見学する者、自由に行きたい所へいって、途中合流する者など様々でした。
制作部の仲澤さんは、鹿にせんべいをあげる際、鹿がすごくお腹を空かせていたらしく、足をかじられてしまったらしいです。(汗)
「鹿って咬んだら痛いっすよ!」と興奮気味で話してくれました【笑】
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「皆さん、鹿に咬まれないようにしてくださいね【笑】」


11月16日(金)
社員旅行もあっという間に終わり、一気に現実の世界に戻って参りました。
各部署の机の上には様々なお土産が並び、賑やかになっています。【笑】

さて、今日はHABUの日です。
先日の宴会での演奏の反省会が行われました。
大きな問題点は3つです。
 ①各人の音の粒(大きさ)を一定に揃えること
 ②パフォーマンスをもう少し取り入れること
 ③強弱をつけること
以上の3点を重点的に練習していこう!!ということになりました。
といっても、これがなかなか難しいのですが・・・
しかし、宴会での演奏は、短い練習にしてはまぁまぁの出来となり、「良かったよ!」
という声をあちこちからいただきました◎
現在使用している楽器は、ミュージックベルですが、いつかはハンドベルで演奏をしたい!という願いを込め、スポンサーを募集しているということを、司会の古城さんからベル部を紹介する際に言ってもらいました!
すると演奏の次の日、何とすごいことにプロデューサーの鈴木さんご自身が、
部長のところまでいらっしゃり、「スポンサーになっても良い」とおっしゃってくださったのです!!!!!!(驚)
これにはHABU一同、大感激☆しかし、1オクターブで60万円。これくらいなら出せるとのことでしたが、部長が「1オクターブじゃ、音楽を演奏できないんです・・・」と伝えたところ、「それなら考えさせて」とのお返事だったそうです【笑】
しかし、1オクターブなら投資を考えても良いと思ってくださっただけでも、HABU一同、大変嬉しく思っております☆☆☆。鈴木さん、ありがとうございます♪♪
私たちHABUの夢は、ポニョのイメージアルバムの一番最後に特典(おまけ)として曲を載せていただき、CDデビューを果たすことです【けっこう本気です】笑。
この場を借りまして、鈴木様へHABU一同より、是非ともご検討の程よろしくお願い申し上げます【笑】!!


11月17日(土)
ぐっと、寒くなってきました。
メインスタッフの中にもカゼを引いてしまった方がチラホラいて、少し辛そうです。
また、作画スタッフの中にもマスクをしている方もいて、追い込み時期なだけに心配です。皆様、どうぞ、カゼには十分気をつけてください。
けれども、そんな中、宮崎さんはとても元気です(驚)
そして、口癖のようにいつもサンキチの顔を見てこうおっしゃいます。
宮崎さん:「サンちゃん(サンキチのことです)あなたは頭がい骨の骨格からすでに笑っていますね。(ニヤリ)」
サンキチ(心の中で):わ、わたしの顔って一体・・・・。
密かにマジマジと鏡をみつめるサンキチでした。
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「オシャレなスタッフのスカジャン☆カッコ良すぎるゼッ☆」
 
 
11月18日(日)
ジブリ野球部の練習試合が行われる。対戦相手はジブリ海外事業部武田さんの大学時代の同級生チーム!!ジブリ野球部のここまで対戦成績は0勝4敗・・・今日の試合こそはと皆意気込んで試合に望みました。
結果は欲しくも2点差で負け・・・。負けはしたもののようやく試合らしい試合ができたので少しは練習の成果が見られる試合になりました。
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「試合開始前のグラウンド」
 
 
11月19日(月)
 
「ポニョ」の現在の数字
 
レイアウト・・924cut
原画・・・・・717cut
作監・・・・・623cut
動画・・・・・585cut
背景・・・・・686cut
仕上げ・・・・541cut
撮影・・・・・516cut
 
さて完成映像もようやく500cutを越え、今後更なるペースupをしていかなければならない状況です。映像の方も勿論ですがそろそろ音響作業も動き始め、イメージアルバムの制作やオーディションなどこれから更に忙しくなる事でしょう。どの部署も年明けから追い込みのピークに達してかなり忙しい事になると思います。急に寒くなり始めたので体調管理には気をつけて、なんとか追い込みを乗り切っていきたいと感じるジブリ一同なのです。
 
 
11月20日(火)
「ポニョ」のこれまでに上がってきた原動画・撮影済みcut約500cutずつが制作倉庫に保管されているのだが、保管できるスペースがとうとう限界に達しスペースが残り僅かになってしまう。
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さすが1cut平均が多いだけあり500cut前後で倉庫は一杯一杯。
なんとかして場所を確保しなければと思う制作陣なのである。
 
午後は、鈴木さんの「ぴあ」の取材が行なわれる。こうして、屋上で写真を撮るのも、よくある光景なのだが、久々に上がる屋上は、すっかり秋めいていて、空の青さとあいまって、とても良い雰囲気。鈴木さんも、なんだかリラックスしています。今年も残すところ、あと40日。今年も、徐々に暮れてきた感じがしたひと時でした。
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「屋上の撮影風景。空が抜けるように青いです」
 
 
11月21日(水)
今日は午後から、ある大物の講演会に出かける鈴木Pほかジブリスタッフたち。入り口では持ち物検査や金属チェックまで行なわれ、警戒レベルも尋常ではない。ところが、登場したそのVIPは、案外気さくで飾らない感じの人で、こういう人だから人が集まるのかなあと思ったひと時だった。鈴木さんいわく「宮さんに一番似てる」と。講演を聞かせてもらっただけでなく、握手をしてもらったり、花束を贈呈したり、とても貴重な体験をした不思議な一日だったように思う。
 
 
11月22日(木)
今週末の日曜から撮影監督の奥井さんがローマへ出張に行くので、その間のcutの動きについての打ち合わせが行なわれる。「ポニョ」ではレイアウトから動検上がりまでの各セクションのcutの移動の時、奥井さんのチェックが不可欠になります。来週一週間、奥井さんが不在の為、レイアウト、原画等の上がりが奥井さんのチェック待ちになり、1週間分の各セクションの上がりが次の作業に回せなくなってしまいます。それはさすがに不味いという事で来週一杯の上がりの可能性の有るレイアウト、原画、作監、動画上がりを全てリストアップし奥井さんに見てもらいました。
中にはチェックが無いと動かせないcutもありましたが、その他のcutに関してはいつも通りにcutの移動をさせて良いとの事。これでなんとか来週も変わらずcutを動かせそうです。しかしながらやはり、奥井さんのチェックが有るのと無いのでは安心感が違います。奥井さん不在時、大きな問題も無く、無事に1週間乗り越えていきたいと願う制作部なのである。
 
夜は、新規事業部に参加することになったジブリのエビちゃんこと海老澤さんの歓迎会が、吉祥寺の沖縄料理屋で行なわれる。ジブリの宴会にしては珍しく女性が少ない会で、一角はおやじで、下ネタで、オタクな話題で盛り上がっていた。あきらかに女性には嫌われる話題だったのではないかと思う。こんなディープなジブリの面々ですが、これからよろしくお願いします。
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「挨拶するエビちゃん。よろしくお願いします。」
 
 
11月23日(金)
今日は祝日。本来なら会社は休みですが、メインと作画部のフロアは出勤日です。
休日返上で黙々と作業を続ける作画部の面々。その慰労として、制作部伊藤さんからパンと手作りコーンスープの差し入れが。
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「寒い時期にピッタリ!勿論大盛況でした」
 
 
11月24日(土)
今日もジブリはお休みの日!なのに、昨日と変わらずメインと作画は出勤して作業に励んでいます。
そんな中、明日の河口湖のマラソンに参加するランラン倶楽部の面々がお昼頃会社から河口湖に向けて出発。皆さん気合が入っていた模様。勿論体調面が一番の心配なので、無理をせず完走を目指して頑張って欲しいと願う、ジブリ一同なのである。
 
 
11月26日(月)
「ポニョ」が作画IN(クランクイン)してから14ヶ月が経ち、ここまであっという間に時間が過ぎてしまった、と感じているスタッフを他所に、先週の日誌にもあった様に着実に撮影済みのカットは増え続けている。
ふと制作部においてある棚に目をやると、短くなった鉛筆の山が。「ポニョ」が始まった当初はほとんど入ってなかったのに・・・・。嫌でも月日の経過を実感させられ、改めて残りのスケジュールの短さを痛感する制作陣であった。
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「山と盛られた、短くなった戦士達」
 
 
11月27日(火)
ジブリ美術館では、休館日の今日、クリスマス装飾の準備に追われているとのことで、さっそく取材に出かける。今年のクリスマスのテーマは、「雪の女王」ということで、白と青をベースにした飾りと、広報部タムラチエコが買ってきたフィンランドのクリスマスグッズで一杯。ただ、サンタの本場フィンランドでは、クリスマスの飾りとしてワラで出来た人形を飾るようで、館内にワラ人形が溢れていた。日本ではワラ人形は別の意味を持つので、ちょっと怪しい感じだと思ったのだが、慣れてくるとなかなか素朴で可愛く思えてくるのが不思議。みなさんも、是非、観に来てください。
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「ワラ人形でいっぱい!」
 
 
11月28日(水)
作画部のTさんのご友人から、ミカンがダンボールで2箱も届く。早速、みんなに御裾分けをしてくれて、冬の風物詩に舌鼓を打つ。例年に比べて、実が小振りらしいが糖度は十分。風邪が猛威を振るっている作画部で、ビタミン一杯のミカンが救世主となってくれると嬉しいのだが。
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「冬と追い込みを感じさせる、風物詩の"ミカン"」
 
「雪の女王」のイベント試写会があって、原宿に越したばかりのヤマハミュージックコミュニケーションズの本社を訪ねるライブラリーチーム。待ち時間にふと横を見ると、大きなマトリョーシカ人形が目に入る。ご存知のようにこのロシアの人形は、胴体の部分で上下に分割でき、中にちょっとだけ小さな人形がはいっているというもの。繰り返し、たくさんの人形が入っているのだが、ちょっと空けて、いくつの人形が入っているのか、知りたくて、全部出してみる。結局23体もの人形が確認できたのだが、ヤマハの人に黙って空けてしまったので、見つからないように戻そうと焦って冷や汗...。
その後、インタビューなどが終わって、帰り際にその部屋を見ると、なんとむ今度は谷山浩子さんが、マトリョーシカを空けて並べているではないですか。なーんだ、みんな空けてみるんだ。結局、暇つぶしのために置いてあったのだなと、ヤマハさんの気配りに納得した瞬間だった。
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「ごらんのような人形たちが隠れていました」
 
 
11月29日(木)
先週から出張でローマに行っていた、奥井さんが無事に帰国。
昼に空港について、そのままジブリに出社。帰国の報告に回った後、早速、留守中に溜まったカットのチェック作業を始める。時差が8時間もあって時差ボケもある中、その姿に胸打たれる制作部。当然、観光などする時間もなかったらしい。「でも美味しい、ご飯は食べてきたよ」と嬉しそうに語る奥井さんに少しホッとする制作部であった。
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「奥井さんを笑顔にさせたイタリア料理!」
 
 
11月30日(金)
この日は、藤岡藤巻と大橋のぞみちゃんが歌う「崖の上のポニョ」主題歌の振り付け指導の日。振り付け指導に立ち会っていた、制作部長の渡邊さんの話しでは、可愛らしく誰でも歌って踊れる振り付けになっていたそうだ。発売が12月5日(水)に迫り、テレビやラジオ出演も多数予定されているので、是非その愛くるしい踊りを覚えて、家族みんなで踊ってみて下さい。全国の子供たちが可愛らしく踊る姿を想像すると、今から楽しみでならない。
 
夜は、日本テレビさんのご厚意で、「マリと子犬の物語」(12月8日公開)の試写が行なわれる。橋本晋治さんが応援シンボルキャラクター犬を制作したこともあって、実現したもの。実は、「続・三丁目の夕日」のフィルムの冒頭に予告編が入っていて、「予告編だけで泣ける」と評判だった映画である。試写に参加するスタッフには「ハンカチ2枚必要」といわれていたのだが、確かに、その評判どおりの出来だったとか。是非とも、この冬、家族でご覧下さい。