生命を吹き込む魔法 The The Illusion of Life

生命を吹き込む魔法
「ディズニー・スタジオが制作した漫画映画は、世界の奇跡のひとつだ。この本には、その奇跡がどのように生み出されたかを教える素晴らしい物語が記されている」
ピーター・ユスティノフ

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美しいインスピレーション・スケッチ、ストーリーボード、
貴重な図版や写真1000点以上をオールカラーで収録。

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線描画、サムネイルスケッチなどを豊富に使って、
ディズニー・アニメーションの技法の数々を丁寧に解説。

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1章
第1章「ひとつの芸術形式が誕生した」
3章
第3章「アニメーションの原則」
9章
第9章「私たちの制作工程」
(C)Disney
 アニメーション制作に使われた絵を満載したこの大著は、単なるハウツー本ではなく、ディズニーの名作映画そのものと同じく、誰もが楽しめる作りになっている。類書の中でもっとも充実しているこの本は、ディズニーに長年勤めた2人のアニメーターがスタジオの内幕を語った魅力的な物語であり、比較的歴史の浅い、まさにアメリカ的といえる芸術形式が徐々に完成していくさまをたどっている。アニメーションを発展させるというその仕事では、他のどのスタジオもディズニーにはかなわなかった。著者のフランク・トーマスとオーリー・ジョンストンは、伝説の人ウォルトをはじめ、半世紀以上に及ぶディズニー映画の歴史の中心にいた人々とともに働いた経歴をもつ。2人は有名な作品の主人公たちを自らアニメートし、この芸術形式の完成に尽力した他のスタッフと長年親しく接してきた。アニメーションは実に手間ひまのかかる芸術で、長編1本を作るのに約250万枚もの絵が必要となる。

 この本は、ディズニーのキャラクター・アニメーション技術を進歩させる上での試行錯誤の苦労について語るとともに、歴史に残る原画を数多く披露して読者を魅了する。それらの原画は、ミッキーマウスやドナルドダック、白雪姫やバンビなど、アメリカ文化の中でもっとも愛されているキャラクターを生み出すのに使われたもので、『ファンタジア』『ピノキオ』といった傑作の名場面を発展させるときに初期の段階で描かれたスケッチも掲載されている。著者たちは、ウォルト・ディズニー・プロダクションズの全面協力を得て、スタジオの貴重なアーカイブを自由に利用し、長年アニメーション映画に深く関わってきた彼らならではの経験を活かして、入念に保管してあった無数の絵の中から論点を正確に伝える絵を選び出した。

 まるで生命が宿っているかのように見える驚くべきディズニーのキャラクター・アニメーションは、どうやって成し遂げられたのか。誰もが抱くその疑問にこの本は答えている。さまざまな人気キャラクターがいかにして独自の個性をもつようになったかという興味深い話も、その中で語られる。アニメーション芸術の創造に貢献した2人の人物の目を通し、アニメーションの歴史とディズニー・スタジオの成長を描いたこの本は、アメリカで高い知名度と人気を誇るこの文化団体の業績をまとめた書物の決定版となった。古きよき時代を愛する映画ファンや、大衆文化の研究者、それにディズニーが生んだ“生命(いのち)の幻影”に感動してきた幅広い層の観客は、本書を読むことに(そしてながめることに)無上の喜びをおぼえるにちがいない。


この文章はカバー袖に掲載のピーター・ユスティノフのもの。
ピーター・ユスティノフは著者らと親交があった俳優で、『ロビン・フッド』プリンス・ジョンの声などを演じている。
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