「野中くん発 ジブリだより」2019年7月号

 今、東京国立近代美術館では「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」を開催中です。この原稿を書いている時点では私もまだ展示自体を観ていないですが、内容を事前に見て、予想以上に未公開資料が多く、その点だけでもこの展覧会は必見だと思いました。これらの未公開資料を駆使して、新発見も交えつつ、高畑監督の演出の秘密に迫っているのですが、見どころはそれだけではありません。各作品のためにスタッフが描いた、イメージボード・キャラクタースケッチ・原画・背景画・レイアウト、そしてセル画なども多数展示に含まれており、見応え十分のそれらの絵は、観ていると作品のことが色々思い出されてきて、さらに楽しめます。この展覧会は高畑監督の50数年に及ぶアニメーション制作の全キャリアが概観出来るのはもちろんのこと、世界のアニメーションの歴史において、高畑監督が何を成し遂げてきたかが分かる内容になっています。高畑勲展は来年4月〜5月に高畑監督の地元である岡山県立美術館に巡回することが決定していますが、それ以外は未定ですので、この機会に是非ご覧下さい。会期は10月6日(日)まで。
 
 この夏、ジブリ関連の展覧会は他には「近藤喜文展」が三重県総合博物館で9月16日(月・祝)まで開催中です。さらに7月13日(土)からは、沖縄県立博物館・美術館で「ジブリの大博覧会」が、長崎のハウステンボスで「鈴木敏夫とジブリ展」がそれぞれ始まります。どうぞ宜しく。
 
 ところで、スタジオジブリの作品を収めた映像ソフトが久しぶりに発売されます。「ジブリがいっぱいSPECIAL ショートショート 1992─2016」。ジブリの作ってきた各種ショートフィルムを収めた短編集です。「ショートショート」は2005年に一度発売されていますが、それ以降に制作された短編を加え、いわゆる増補版として新たに発売されることになったのが今回のソフトです。「コニャラ」CMや「鳥獣戯画」CMなど、10作品が増えました。また、今回はDVDだけでなくブルーレイディスクも初めて発売されるので、より鮮明な画面で「On Your Mark」などの作品をお楽しみいただけます。7月17日(水)にウォルト・ディズニー・ジャパンから発売。また、同日より、「ジジのパスケースホルダー」がもらえる同社のサマー・キャンペーンも始まります。詳しくは同社のホームページをご覧下さい。