「野中くん発 ジブリだより」2月号

 スタジオジブリでは、毎年1月に健康診断を行っています。どこの会社も年に1回は実施しているはずですが、ジブリの場合はどこかに出向くのではなく、社内に臨時の検診会場を設け、医師や検診の係員にスタジオまで来ていただいて、そこでスタッフほぼ全員が朝から夕方までかけて順番に受診します。検診のためには薄着になる必要がありますし、1月は年末年始の飲み過ぎ食べ過ぎからまだ回復していなかったりしますので、暖かくなってからやって欲しい、という声は以前からあるのですが、結局今年も1月17日(火)に実施されました。

 健康診断は単に検診を受けるだけのこと、何でこのコーナーでわざわざ採り上げるんだろうと思われそうですが、ジブリでは仕事の性質上かそれとも日頃の不摂生が祟ってか、結構数値が引っ掛かる人も多く(かく言う私もここのところは再検診の常連になってしまっています。イカンですね)、検診の日が近づくにつれ何かと社内で話題になることが多いです。この日に備えていろいろ対策をしたりしなかったり、それをまたお互いに報告しあったり、又、実施の日は1日中何となく社内がざわつき高揚した雰囲気が漂い、「バリウムがまずい」とか「体重が増えた」とか「早くご飯が食べたい」とかの会話が頻繁に交わされます。要するにジブリでは、かなりの人が無意識のうちに、健康診断を年に一度の社内イベントのように捉えて、非日常のハレの日として結構楽しんでいるのではないか(楽しむ、は言い過ぎかもしれませんが)という気がして、今回採り上げました。ともあれ、今年も健康診断は無事終了し、現在、一部の人が再検査を心配しながら過ごしています。

 さて、話は変わりますが、2月17日(金)よりいよいよ「借りぐらしのアリエッティ」がディズニーの配給で全米で公開されます。スクリーン数は約1300。ディズニーの系列でジブリ作品が最初に北米で公開されたのは1999年の「もののけ姫」でしたが、あれから13年、今回の「アリエッティ」はジブリ作品では過去最大の規模であり、鈴木敏夫プロデューサーのところにもアメリカ在住の知人から「ポスターを見た」「予告編を見た」というメールがいつになく多く届いているそうで、宣伝量も恐らく最大だと思われます。タイトルは「The Secret World of Arrietty」。沢山の人に観てもらえると嬉しいですね。