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2006年3月 3日

第四十六回 絵としての豊かさを出す

キャラクターをシンプルなものにするならば、
当然、背景美術もそれにあったものにしなければなりません。

ざっくりとしたキャラに、細密画ふうの美術はなじみません。
背景の絵が細かくなればなるほど、
その手前にあるキャラクターが、浮いた感じに見えてしまうのです。

「ディティールの描写に頼らないで、
絵としての豊かさを出すにはどうしたらよいのか?」
美術監督の武重さんと一緒に頭をひねる日々が続きました。

四苦八苦した末にたどり着いたのは、
「アニメーションとは絵なのだから、
絵として描いたらいいんじゃないか」
ということです。

きっかけは準備段階で、
終末観を描いた中近世の西欧絵画を参考にしていたことでした。
油絵やテンペラ画のように、筆のタッチを見せたり、
大胆な色づかいを指向することで、
写真のような写実性に縛られず、
豊かな画面を成立させることができるのではないか、
と考えたのです。

その考え方が、結果的に、
先日書いた「新古典主義」に結びついていくのです。