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2006年3月 2日

第四十五回 絵の緻密さよりも芝居を!

では、シンプルな絵であれば、
アニメーターの負担も減り、描くのが簡単になるかというと、
決してそんなことはありません。

というのも、
ディティールを省略しながらも
リアリティーを維持する技術が必要になるからです。

その技術とは、
少ない線で魅力を感じられるキャラクターの造型であり、
大胆なアクションから日常のちょっとした仕草にいたるまでの、
説得力を感じられる「芝居(=動き)」です。
「緻密な線」と「シンプルな線」。
もちろん、どちらの手法が優れているということはできませんし、
ストーリーの性質によって向き不向きがあるしょう。

それをふまえて、私は、
自分自身のアニメーションの好みと『ゲド戦記』という題材から、
「シンプルな絵で、力強い言葉と生き生きとした動き」
を目標に置いたのです。

これについては、
まず、現在作画監督を務めている山下さんが、
全面的に賛同してくれました。

前にも書いたように、
山下さんの口癖は、「気持ちよく動かしましょう!」です。
もともと山下さんの描く絵は、ディティールに凝るよりも、
動かす芝居を重視してデザインされたものでした。

そして現在、この目標を現実のものとしてくれているのは
作画監督の山下さん、稲村さんをはじめ、
確かな技術を持ったスタッフたちなのです。