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2005年12月22日

第七回 第三巻の衝撃

この歳になって『ゲド戦記』第三巻を読み返してみて、
私は3つのテーマに惹きつけられました。

ひとつは「する人生とある人生」について
もうひとつは、「生と死」について
そして3つめは、「世界の均衡」について

まず、「ある人生とする人生」についてお話します。

第三巻は、壮年になったゲドが
王子アレンとともに世界の均衡を取り戻す旅に出る物語です。
これから本格的に冒険が始まろうとする前夜、
ゲドは、アレンにこう語りかけます。

まだ若かった頃、わしは、
ある人生とする人生のどちらかを選ばなければならなくなった。
わしはマスがハエに飛びつくように、ぱっと後者に飛びついた。
だが、わしらは何をしても、
その行為のいずれからも自由にはなりえないし、
その行為の結果からも自由にはなりえないものだ。(中略)
そうなると、わしらは、
ごくたまにしか今みたいな時間が持てなくなる。
(中略)自分とは結局のところ、何者なのだろうと考える時間をね。

高校生のとき、私はこのシーンを気にも留めませんでした。
単純に、
「立ち止まって考えることの大切さを説いているものだろう」
と思い込んでいたのです。
しかし、三十半ばになって、あらためてこのシーンを読んだとき、
私は、簡単に読み飛ばすことができませんでした。

それは私が歳を重ねたということ、
そしてなによりも、
父との関係から入るまいと心に決めていたアニメーションの世界に、
まさに足を踏み入れようとしていたからです。


追記
世の中では、明日から3連休だそうですが、
ジブリの制作陣は7月の公開に向け、
休日返上で作業を進めてまいります!