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「ゲド戦記」制作日誌

2006年3月31日

糸川さんの絶対領域

 
 先ほど。

 背景美術部で、残り背景カット数が300カットを切ったことを発表したのち、束の間の雑談となりました。

 アニメーションの背景美術界は、美芸大の出身者が多いせいか(?)体育会系の酒豪が多く、しらふでも常人の酩酊状態の如き、酒池肉林の饗宴が繰り広げられます。(肴はおせんべいですけど)


 今日は、ひと通りの猥談に花が咲いた後、「メイド喫茶」の話題で盛り上がりました。


 もはや日本文化として輸出されるされるまでとなった「萌え」ブームですが、同じ業界に籍を置きながら、最果て、東小金井に棲息するジブリスタッフにとって、メイド喫茶はまさに未知の領域。

 吉祥寺にあったのだけどつぶれてしまったらしい……とか、最近は、池袋に「執事喫茶」なるものが出現したらしい……とか。


 美術監督の武重さんに、こう問うてみました。


 僕「娘さんがメイド喫茶で働くと言ったらどうします?」

 武重さん「ま……見に行くな!」


 (笑)


 ──と、そこに、特効(特殊効果)担当の糸川さんがやってきました。
 

 特効とは、最終的に完成した画面に、線画やデジタルペイントでは表現できない質感や、霧、煙などを描き加えるお仕事。
 「ゲド戦記」の予告編を観て頂いた方は、思い出してみてください。
 鎖に繋がれたアレンが顔を起こすカットで、アレンの頬に「汚れ」が描かれていましたが、これは糸川さんが一枚一枚、描き加えているのです。


 今日の糸川さんのファッションは、ショートスカートに、膝下まである黒いブーツ。


 ──と、とある背景美術スタッフが、こう叫びました。


 「絶対領域だ!」


 なんでも、「萌え」の世界では、ミニスカートと、膝まであるソックスの間の肌の露出部分を、「絶対領域」と呼ぶらしい……のです。


 おせんべいをかじりながら、糸川さんの「絶対領域」に「萌え」た、背景美術スタッフと僕なのでした。