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「ゲド戦記」制作日誌

2006年2月13日

不屈のヤマシタ魂

 
 こんにちは。

 今日は、第1回目の編集に間に合わせなければならないカットを上げて頂くために、某アニメーションスタジオに張り付いています。
 こうして出先からもブログが更新できるなんて、本当に便利な世の中ですネ……トホホ。
 
 トリノから、日本選手団の活躍が伝わってきますが、我が「ジブリンピック」選手団も、大奮闘中です。

 今日の選手は、先日の監督日誌でも名前が挙がっている作画監督の山下さん。


 「千と千尋の神隠し」では、湯バーバの扇子踊りと、千尋とハクが落ちてゆくシーンを担当され、「ハウルの動く城」では、作画監督をつとめた山下さん。宮崎駿監督が一目置き、ゴロウ監督の絶大な信頼を勝ち得ている、スーパーアニメーターです。

 朝、出社して席につくなり猛然と描き始め、お昼のお弁当と夕食、合間の一服をのぞいては、日付が変わっても手が止まることがない。その、柔らかく、のびのびとした線は、素人の僕らが見ても、ため息をつく程です。


 そんな山下さんにも、ひとつの悩みがあります。

 お昼ご飯を食べた後、洗面所で歯を磨いている時のこと。
 
 
 僕「あれ? 山下さん、左利きでしたっけ?」
 
 山下「いえ、右利きですよ」
 
 
 夕食時、バーでお弁当を食べている時のこと。
 
 
 僕「あれ? 山下さん、やっぱり左利きなんじゃないですか?」
 
 山下「右利きですってば!」
 
 
 そこではたと気づきました。

 山下さん、絵を描く時以外は、利き腕の右腕を使わないようにしていたのです!


 「ハウル」からジブリ美術館の短編作品、「ゲド戦記」まで、休まず連投してきた右腕に、最近痛みを感じると言う山下さん。その腕には、痛々しくも、湿布が貼られています。


 山下「少し休ませるだけでも、違うんですよ」


 と、ニッコリ。


 う~む。


 一切の悲壮感を感じさせない笑顔に、ただただ、うなだれるばかり。

 本当はお休みを差し上げたいのですが、それは映画の完成までお預けという事にして、金メダルを差し上げます!