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「ゲド戦記」制作日誌

2006年1月 6日

アニョハセヨー!

 今日は、日本のアニメーションと、おとなり韓国とのお話です。

 日本のアニメーションは、20年以上前から、韓国のスタッフによって支えられています。皆さんも、テレビや映画のエンドクレジットで、ハングル語表記の名前を目にした事も多いのではないでしょうか。

 昨年12月に、日本国内において放映されたテレビシリーズのタイトル数は86タイトル。オリジナルビデオ作品は月平均12~15パッケージ。これに劇場作品を加えると、一月に、優に100本を越えるアニメーション作品が、世に出ている計算になります。

 お手元の新聞や雑誌の、テレビ欄を広げてみてください。
 1日のうちに、10本前後のテレビアニメーションが放映されている事に、驚かれると思います。単純計算すると、週1回の放映作品で70タイトル。毎日、短い尺で放映される作品も加えると、あっという間に前述の数字になるのです。

 これだけの本数を制作する事は、日本国内のスタッフだけでは到底不可能です。今や韓国だけではなく、中国や東南アジアにも、次々とアニメーションスタジオが設立されています。
 かつて日本のアニメーションスタジオは「合作」と称して、ディズニーなど、アメリカのアニメーションを制作していましたが、今僕らがテレビで目にする作品のほとんどが、アジア諸国の「合作」なのです。


 今日は韓国から、背景美術歴30年の、大物美術監督の方が来日されました。

 現在韓国には、日本のアニメーションを主に制作するスタジオだけで、100~200あると言われています。まだ、韓国にアニメーションスタジオが2つしか無かった頃から、一線の背景美術として、活躍されてきた方。「ゲド戦記」美術監督の武重さんと、若き日に机を並べ合った事があり、厳しいスケジュールの中でも、質の高い背景を上げて下さる方にお願いしたいと、急遽来日して頂いたのです。


 実に、十数年ぶりの再会。


 年を重ね、お互いの記憶は朧気になっていましたが、いざ打ち合わせが始まると、ふたりの様子が一変します。通訳の方を介しての打ち合わせでしたが、職人同士のキャッチボールに、国境はありません。やりとりは、実に具体的。抽象的な話は一切無し。約100カットの背景の打ち合わせが、瞬く間に進んでゆきました。

 この方の、韓国での作業時間を聞いて、ビックリ。

 24時間のうち、睡眠時間が4時間。残るは食事の時間以外、すべてお仕事。スタジオの明かりが消えるのは、1年のうち、旧正月の1日だけなのだそうです。


 我々はまだまだ甘い……と深く頭を垂れたジブリスタッフでした。


 その後、食事を囲んで語り合い、議論は背景美術の筆や絵の具の品質に関する事から、日韓の歴史にまで及びました。


 昨今、映画やドラマで、すっかり身近になったおとなりの韓国ですが、アニメーションの世界でも、積極的な交流が生まれています。


 尚、韓国のアニメーション事情に関しては、今日の日誌だけでは書ききれませんので、追って詳細にレポートしたいと思います。