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「ゲド戦記」制作日誌

2006年1月 4日

スタジオジブリの仕事始め

 今日は、「ゲド戦記」制作スタッフの仕事始め。

 監督以下、メインスタッフは、朝から3回連続の作画打ち合わせに追われていました。

 毎年の事ですが、年明け最初の日は、怒濤のように打ち合わせが行われ、カットが文字通り、右から左、上から下へと流れてゆきます。
 
 年末には、各スタッフとも、自分の手持ち分を年内に終わらせるべく、ラストスパートをかける為、次の担当分の打ち合わせが、年明けに集中するのです。

 ちなみに、手持ちの担当分が無くなって、スタッフの仕事が空いてしまうことを、アニメーション業界では、「手空き」と言います。これは、制作部としては絶対に避けたい事態。手空きをどれだけ出さずに、スムーズに各スタッフに仕事を受け持って貰うかが、制作部の腕の見せどころです。
 今日は、原画担当伊藤くんの絶妙な采配によって、スムーズに打ち合わせが行われました。


 次なる収穫は、背景美術。
 昨日お伝えした監督チェック後の背景が、一気に上がってきました。
 
 
20060104_BG.JPG
『山と積まれた背景のカット袋。作品全体で、この20倍以上の背景が必要となります』
 
 
 美術監督の武重さんから受け取った背景の内容を、1枚1枚、演出助手の居村さんと清川くんがチェックし、「撮出し」してゆきます。
 「撮出し」とは、完成した背景と、キャラクターの位置がきちんと合っているか、画が画面からはみ出していないか等をチェックして、撮影部に渡す作業の事を言います。実写映画の現場で言えば、監督が指示したカメラ位置を、カメラマンや助監督が最終的にチェックする作業に似ていますね。
 実際の映像をお見せできる時になったら、「ゲド戦記の作り方」で詳しく解説したいと思います。

 「撮出し」した背景を、撮影部が高解像度のデジタルカメラで撮影し、そのデータが仕上げ部に送られて、アニメーターの描いた線画と合成され、キャラクターに色が塗られるのです。


 演出助手の二人は半日、撮出し作業に追われていました。
 それでも、今日上がった分だけで、61カットなのです。


 先は長い……。


 武重さんと、背景美術スタッフの闘いは続きます。