「交響組曲 もののけ姫」Recording in PRAHA 4



第五日目 1998年6月9日(火)
レコーディング三日目。
今日は、久石さんのピアノ演奏本番。早めの8:00にホール入りしてリハーサル。
リハーサル室はドヴォルザーク・ホール内にあるコンポーザー・ルーム。(写真:12、13)歴代の著名な音楽家達が実際使用した由緒ある聖域のような場所。(写真が飾ってあり、ピアノが置いてある。シャワー、キッチンなど完備したVIPルーム。)


写真12

写真13

第四セッションは、9:30より「第八章 アシタカとサン」「第四章 もののけ姫」。
いよいよ、この2曲は、久石さんのピアノ演奏とチェコ・フィルのセッションが実現する。
チェコ・フィルの面々に拍手で迎えられ久石さんがピアノへ向かった。
少し緊張している様な感じもするが、音が鳴り始めるとやはり流石だ。(写真:14、15) チェコ・フィルと一体になっていった。


写真14

写真15

「第八章 アシタカとサン」は、映画本編では、エンディングに使用した曲のアレンジ。「第四章 もののけ姫」は、ヴォーカルではなくピアノアレンジバージョンとそれぞれ美しい音色でアルバム構成上も全体的に派手な曲が続く中で、アクセントにもなっている楽曲である。
特にこの2曲は心を暖かくさせる力が備えている楽曲だとホール内で聴いていた私は改めて感じた。
終了した時は、チェコ・フィルの皆さん、指揮者マリオさん、そして久石さんと満足感いっぱいの笑顔だった。久石さんは「ナイス、ミュージック!」と声をかけられ、スタンディングで拍手を送られ、暫く鳴り止まなかった。感激!!(写真:16)
これで、全四セッション8曲レコーディング無事終了!
レコーディングを通じて、ひたすら感激と驚きの連続で、改めて「もののけ姫」の凄さを感じると同時に、多くの皆さんにこの生の音を聴いてもらいたかった。
いつか日本でコンサートが実現する事を私も願っています。
午後、編集をして最終チェックも終了。
プラハ最後の夜、市内のビアホールにて打ち上げ。
やはり、チェコといえば世界一と言われるビールで乾杯!
うまい!暑かった気候と安堵感で、この時のビールは格別であった。
終始リラックスムードでレコーディングの感想やプラハの印象など談笑しながら楽しい一時が続いた。


写真16


第六日目 1998年6月10日(水)
出発と同ルートにて日本でのマスタリング作業の為、帰国。
全日程5泊7日プラハレコーディングの旅は、無事終了した。


最後に
このアルバムは、スタジオジブリ音楽関連としては初の海外レコーディングで又、「もののけ姫」では、サウンドトラック発売以来1年振りのアルバムです。
1996年「イメージアルバム」で音楽の原型にふれ、
1997年「サウンドトラック」で映画の感動を味わい、
そして1998年「交響組曲」でさらなる醍醐味を。
チェコ・フィルの演奏技術とドヴォルザーク・ホールでの迫力・臨場感が融合した新たな「もののけ姫」を存分に堪能してください。
今回も作曲・編曲・演奏そしてプロデュースと一人四役をこなした久石譲さんの「もののけ姫」に対する情熱と心がつまっている力作です。
スタッフ一同、自信を持ってお薦めできるアルバムが出来上がりました。
「もののけ姫」を大好きなすべての皆さんへ、楽しんで戴ければ幸いです。


スタジオジブリ 音響・音楽制作室 稲城 和実(1998年7月筆)
E-MAIL inaki@ghibli.co.jp

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