「野中くん発 ジブリだより」 8月号

 すでに色々報道が出ているのでご存知の方も多いと思いますが、宮崎駿監督は今、三鷹の森ジブリ美術館用の新作短編アニメーションの準備中です。小さな毛虫のボロが主人公の作品ですが、実はこの企画は、90年代半ばに「もののけ姫」と同時期に劇場用長編映画化が検討されました。「ボロ」として企画書も書かれたのですが、結局「もののけ姫」が映画化され「ボロ」は製作されませんでした。しかし、宮崎監督の中ではこの企画は消えることなくずっと温められ続けてきたようで、今回、新たに短編の企画として、本格的に制作準備作業に入りました。以前から宮崎監督はジブリ美術館の短編について、月1本ずつ上映して丸1年で一巡するように全部で12本作ろう、という意向がありました。現在、ジブリ美術館の短編は9本あるので、完成すれば10本目ということになります。今年6月から準備作業が続いていますが、完成までまだ掛かりますので、どうかお待ち下さい。それまで、好評開催中のジブリ美術館新企画展示「幽霊塔へようこそ展 -通俗文化の王道-」をどうぞ宜しく。

 さて、この号が出るのは8月半ば。夏真っ盛りですが、夏休みということで、金曜ロードSHOW!は8月にジブリ作品を3週連続で放送します。今回はいずれも高畑勲監督作品で、まず、終戦記念日の前日の8月14日(金)は「火垂るの墓」をオンエア。翌週の21日(金)は「おもひでぽろぽろ」。そして28日(金)は「平成狸合戦ぽんぽこ」です。3本とも夏が関連した作品ですが、特に「火垂る」「おもひで」は内容がほぼ夏の話なので、いわば〝ジブリの夏祭り〞といったところ。ちょうど製作順での放映なので、続けて観ると、80年代後半〜90年代前半の高畑監督の長編アニメーション作品をすべて順番通りに鑑賞することが出来て、大変充実したラインナップです。例によって、放映時のセカンドスクリーン展開も実施予定。本編ノーカット放送ですのでぜひ3本続けてご覧下さい。

 最後になりましたが、吉永小百合さん編、男鹿和雄さん画の詩画集『第二楽章 ヒロシマの風 長崎から』が徳間書店から発売になりました。別々に出ていた2冊を1冊にまとめ、美しいハードカバー本として新刊行。また、ちょうど今、広島県熊野町の筆の里工房では8月30日(日)まで「第二楽章 男鹿和雄展 吉永小百合と語り継ぐ」を開催中です。詳しくは筆の里工房のホームページをご覧下さい。http://fude. or.jp/