「野中くん発 ジブリだより」11月号

 去る10月13日(土)、日本航空とスタジオジブリのプロジェクト「空を飛ぶ。」の一環として行われた、787型機に子供たちの絵を描く企画の成果をご披露するイベントがありました。2007年8月から2008年1月の期間、国内外の小学生を対象に「あなたが乗って旅してみたい、空飛ぶ乗り物」を公募し、ジブリのバーで絵を並べて宮崎駿監督や鈴木敏夫プロデューサーも加わって選考を行い、7点の絵を選出したのが2008年3月のこと。本当はその年に、それらの絵を描いた機体が飛ぶはずだったのですが、787の導入が遅れに遅れ、やっと今年になってボーイング社から日本航空への納入が開始。この度、子供たちの絵をデカールで描いた機体がついに完成したので、今回のお披露目式となったわけです。

 この日、イベントが行われたのは羽田の格納庫。受賞者の7人の子供たちもほとんどが小学生から中高生に成長していましたが、皆さんご家族と共に参加され、自分たちの絵が描かれた機体と対面しました。ジブリからは鈴木プロデューサーが出席。日本航空の植木義晴社長に続きご挨拶し、"機体に絵を描くと、ともすれば品がなくなりますが子供たちの絵は品を保っていて嬉しいです"と話し、特別デカール機の完成を祝いました。

 受賞者への記念品贈呈、787型機内覧会と続いてイベントは終了しましたが、その後、サプライズ企画として受賞者の子供たちはご家族と共にバスで小金井まで移動。受賞者は宮崎駿監督の案内で、特別にジブリのスタジオ内を見学しました。子供たちにとって、きっと記憶に残る1日となったことでしょう。

 特別デカール機は翌日から運航開始。初フライトは羽田発の北京行きでしたが、この後来年3月頃まで、シンガポール、モスクワ、ボストン、サンディエゴ便等での飛行が予定されています。当初の予定から4年も経過し、本当に飛行機は来るのだろうか、とさえ一時は思ったこの企画ですが、無事に飛行が開始され、本当に良かったです。

 さて、本誌に連載された『昭和という時代を生きて』(著者:氏家齊一郎 聞き書き:塩野米松)が単行本になります。昨年3月に逝去された氏家氏は、メディア界に大きな足跡を残した方ですが、ここ10年ほど、ジブリを支えてくれた人でもありました。飾らない語り口で明かされる、あの時代の証言の数々。岩波書店より11月15日(木)発売予定。どうぞよろしく。