「野中くん発 ジブリだより」7月号

 今、スタジオジブリでは次回作をひたすら制作中。ですのでこの夏、新作の公開はありません。その代わりというわけではありませんが、7月18日(水)、とても重要な2つのジブリ作品のブルーレイディスクが同時発売されます。「となりのトトロ」と「火垂るの墓」。そうです、24年前に2本立てで同時公開されたこの2作が、今回も同時に発売されることになりました。

 作品についてはもう皆様ご存知のことと思います。どちらも高畑勲監督と宮崎駿監督の代表作のひとつであり、日本を舞台にしている点が共通しています。この2作が2本立てで公開されたというのは、今から思えばとても贅沢なことでした。公開時の興行成績はそれほど良くありませんでしたが、しかしどちらの作品も極めて高い評価を得ることが出来、この2作品の内容面での成功が、世間におけるジブリ作品への信頼と期待感を高め、以後の作品の高動員につながっていったのは確かでしょう。トトロはジブリのマークにもなりました。この2作のブルーレイを、劇場公開と同様に同時発売するというのは、とても意義深いことに思えます。今回の宣伝コピーも、公開時と同じく「忘れものを、届けにきました。」です。

 ブルーレイ化に際しては、今回もオリジナルネガフィルムにまで遡り、これを改めてスキャン。ここ十数年のデジタル撮影作品と違い、フィルム撮影の両作品はデジタル変換の手間が大変ですが、きめ細かい作業を重ね、公開時のフィルムの風合いを出来る限り再現するべくマスターを制作しました。ですので、すでにDVD等をお持ちであっても、ブルーレイで観る「トトロ」「火垂る」には、次元の違う、よりオリジナルに近い感動があると思います。発売元はウォルト・ディスニー・スタジオ・ジャパン。各々の単品商品と共に、2作品がセットになった2本立て特別セットも発売。このセットには、製作当時の、企画書を兼ねた関係者向け特別パンフレットの限定復刻版が付いています。先月発売の最新作「コクリコ坂から」DVD&ブルーレイともども、どうかよろしくお願い申し上げます。

 最後になりましたが、いよいよ東京都現代美術館では「館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」が始まりました。こちらも力の入った展示会になっています。また、ジブリ美術館ライブラリー最新作「夜のとばりの物語」(ミッシェル・オスロ監督)も各地で上映中。何卒よろしくお願い申し上げます。