2002年4月

4月1日(月)
 朝からDRにて打ち合わせ。ちょうど日本のテレビ局の取材人が、韓国経済の特集番組でDRジョンさんの取材日と重なり、打ち合わせ風景を撮られてしまう。あ~恥ずかしい。

 制作の新人鳥羽君が今日から出社。とりあえず外回りから開始。神村氏が教官となって道を教えているのだが、事故の件があるので、どうにも不安である。


4月2日(火)
 来週に迫った3,4ロールのカッティングに向け最後の原画調整が行われる。これで原画の目処は立ったはず。


4月3日(水)
 昨日に引き続き、ギブリーズのサントラ盤用トラックダウンが行われる。ところで無事帰ってきた渡辺氏、「待合室で休憩してたら、「いっきょくあがったよ」との声がして、スタジオへ入ってみたところ、休憩中のスタッフが将棋を一局終わらせたところだったんだよ」とトラックダウンのエピソードを披露していたが、周りの人は「またまたくだらない親父ギャグ」と信用していなかった。


4月4日(木)
 3時より野見さん等が来社し、今後の音楽収録スケジュール等の打ち合わせを行う。カッティングが全体に遅れ気味なので、音楽を含め、音響さんには迷惑をかけ続け。とほほ。

 今日からQAR要因として、斎藤君の友人でもある今井君が出社。早速マック版QARのセッティングに取り掛かるが、用意してあったデジタルビデオカメラの写りが余りよくない。薄めの線をうまく取り込むことができないのだ。ものは試しに取材用のデジカメと交換してみたところなぜかこれが良く写る。同じメーカー、同じレンズのカメラなんだけど、ものによって微妙に違うのね。


4月5日(金)
 来週のカッティングに向け、タイミング、動撮とT2さんにカットを入れまくる。R1,2に比べるとやっぱり白味が多い。

 今週はペイントが好調だ。そこで追い込みに向けて新たなスタジオにペイント入れを行う。とりあえず500枚ほど。


4月6日(土)
 カッティングを前に原画が20カット上がってくる。森田監督の原画チェックもラフ原を含めて今週は90カット以上上がっている。QARを担当している制作の斎藤君を筆頭に、周りのサポートスタッフも大忙し。

 高畑監督が推薦する某フランスアニメの上映会が行われる。おもしろい作品だったが、フランス語で英語字幕だったため、細かい意味が分からなかった人が多く、上映後にはあちこちでその意味を聞きあう姿が目撃された。


4月8日(月)
 カッティングを前に斎藤君の作業がピークを迎えつつある。しかも森田監督のR3の演出チェックが終わったため、R4も作業に入っていて、そちらのQAR作業も平行して行っているので、忙しさに輪をかけている。


4月9日(火)
 R3カッティングの前の最後のラッシュチェックが行われる。今回は動きの多いシーンが数多く上がっている。一方のギブリーズもまだできていなかったりするのだが、こちらはCGカットが数カット残るのみ。


4月10日(水)
 R3のカッティングが行われる。森田監督と斎藤君は朝までQARでの原画チェックに追われる。朝一からムービーに落とし、ぎりぎりでアビッドに送ることができる。

 朝から連絡会議が行われる。現在製作中の作品の現状や、千尋の興行状況、ビデオ発売、美術館の現状等が報告される。


4月11日(木)
 「猫の恩返し」の予告編編集作業が、ガルの板垣氏によって行われるが、上がっているカットがそう多くはないので、鈴木プロデューサーともども非常に苦労している様子。誠に申し訳ない。

 最近プロ野球某チームが勝ちまくっているため、高橋プロデューサーは妙にハイテンションである。そういえば神村氏も某チームのファン。よなよな大変な制作状況を忘れて盛り上がっている。「今年はサッカーだよ」とは○人ファンの渡辺さんの弁。


4月12日(金)
 ついにギブリーズ最後のカットのデータがイマジカに送られる。あとは0号で問題が出ないことを祈るのみ。

 会議室にて美術館作品○○○の音楽打ち合わせが行われる。信州の山小屋で休養していた宮崎監督が打ち合わせに現れる。

 明日に迫ったR4の打ち合わせに向け、必死のQAR取り込み作業が続いている。このロールが済めば少しは楽になるはずなのだが(本当か)。


04月13日(土)
 R4のカッティングに向けての作業が昨日からオールナイトで行われているが、なかなか素材がそろわず、始まったのは午後6時頃。10時頃になんとか終了。あとは5,6ロールを残すのみ。


4月15日(月)
 朝の制作会議は、ますます深刻になるスケジュールの遅れによって、どうにも暗い雰囲気になりがち。暗くなってもスケジュールが好転するわけではないので、務めて明るく振舞っているのだが、あまり笑ってばかりいるとスタッフに「あんなに制作が笑っているということは、スケジュール楽勝かも」と勘違いされる恐れもあるので、そのへんの按配が難しい。なんのこっちゃ。


4月16日(火)
 本日の差し替えで3,4ロールの定尺が出る。
 広報西岡氏がダウン。熱が39度も出て寝込んでいるらしい。会社帰りに熱さましや消化に易しい食料を持って行く。


4月17日(水)
 2時からイマジカにて「猫の恩返し」のフィルムレコーディング等、スケジュールの打ち合わせが行われる。う~ん時間が無い・・・。

 その後3時から同じくイマジカにおいて「ギブリーズ episode 2」 の0号試写が行われる。無事…と行きたいところが、ミスが発生、しかもイマジカのフィルムレコーダーのメンテナンス中が重なり、19日の初号に間に合わないことが発覚。ジブリに戻ってきたプロデューサーの渡辺氏は、「初号が遅れます」と各方面に必死に電話連絡。

 「猫の恩返し」3,4ロールのスタッフ試写が行われる。


4月18日(木)
 「猫の恩返し」のラッシュチェックが行われる。溜まった特効カットをはき出すため、特効の榊原さんが来社。一連のシーンをまとめて、森田監督のチェックを受けながら作業を開始。


4月19日(金)
 今週は作監上がりが好調だ。ようやく外のスタジオにも出せそうなほど上がりがたまってきた。また動画チェック上がりや、仕上入れも猛烈に流れてきた。どこまで盛り返せるか。

 夕食時、制作部の新人鳥羽君、QARの新人今井君をつれて、制作部半年に一度の恒例となった1000円焼肉食い放題に行く。限られた時間内に慌てて食べたためか、みんな深夜を前に気分が悪くなる。さすがの渡辺氏も「多少胸やけが・・・」と言っていたが、多少ですむところがさすが。


4月20日(土)
 みんな「猫の恩返し」にかまけていたためか、某美術館作品の動画作業がこのままでは終わりそうもないことが発覚。さっそく、「猫の恩返し」を含めて動画を効率的に上げて行く算段を話し合う。それにしても一カットあたりの枚数が、半端じゃない。100枚、200枚はあたりまえというカットの連続だ。

 CG部の模様替えが行われる。ギブリーズで監督助手をしていた松村さんがCG部へ移動。

4月22日(月)
 森田監督のレイアウト演出チェックがついに終了。一つの段階が終了しただけに、妙に元気になってきた森田監督。

 出口氏が体調不良でダウン。メインスタッフの細かいフォローを担当していただけに、この時期の体調不良は痛いぞ。森田監督も「出口の細かいチェックがないとつい気を許しがちになってしまう。早く出てきて欲しい」と心配げ。

 先週作監アップがついに4000枚を超えた。もう終わりまでそう数字が落ちることはないだろう。それでも厳しいんだけど・・・。


4月23日(火)
 朝から作画スタッフに会議室に集まってもらいゴールデンウィーク中も出社してなんとか頑張って仕事を上げて欲しい、とのお願いをする。どうでも良いけど毎年夏の映画を公開するとなるとゴールデンウィークは必ずつぶれてしまう、って愚痴るなら早く完成させればいいだけなんだけど。トホホ・・・。


4月24日(水)
 出口氏体調不良にて今日もお休み。体調管理も仕事のうちと考えつつも、こっちも最近体調がすぐれないので、人のことは言えない。これで、私か居村氏が倒れたら、本当にしゃれにならないな~。


4月25日(木)
 月明けの5,6ロールカッティングに向け、必死の作業が続いている。3,4ロールが終わった時点では「5,6ロールはもうちょっと楽になるさ」と楽観していたのだが、今度も再び大ピンチである。なんとかなるのか。

 早朝レイアウト作監が全てアップ。一つ一つ作業が終わっていく。

 ようやく「ギブリーズ」の初号がイマジカで行われる。問題も無く終了。渡辺氏はホッと一息。

 鈴木プロデューサーがアメリカから帰ってくる。ジブリ内では、サンフランシスコ映画祭での「千と千尋」上映の際に、ジョン・ラセターと英語で漫才をしたとの噂がひろがっているが、本当なのだろうか。


4月26日(金)
 来週のカッティングに向けの作業が本格化しはじめているが、出口氏がまだ休んでいるため、居村君の作業量が猛烈に増え、にっちもさっちも行かない状況になりつつある。

 特効上がり、背景上がりが急激に上がりつつあるため、撮影入れが一気に出始める。本撮上がりがまだそう多くはないだけに、入れられるカットはどんどん入れていかなければ。


4月27日(土)
 世間では今日からGWだそうだが、制作部も今日からGW。カッティングを前にした非常事態週間だ。祭日どころか当然日曜日も無しだ。会社的にも「猫の恩返し」班は全社上げて出社。

 島宮部長と渡辺プロデューサーが、疲れた制作部の面々を哀れに思ったのか、宅配寿司をご馳走してくれる。「おお、廻っていないぜ」とか言いつつ、一同ご満悦。


4月28日(日)
 カッティングに向け、演出チェックしなければならないカットが山積み。森田監督は一日4,5時間睡眠で、それ以外は机について仕事。一日20時間労働。


4月29日(水)
 出口氏が復帰。熱は出るは、めまいは出るは、ほとんど床にふせっていたらしい。しかし病院では風邪と言われたらしいのだが、風邪ってこんなに重かったか?


4月30日(火)
 ラッシュチェックが行われる。約20カットの本撮あり。チェック後、6ロール分の線撮りについてT2高橋氏と相談。QARで線撮りできないカメラワークのあるカットをなんとかぎりぎりまでT2さんにお願いしたいと言う相談。なんとか金曜日朝一までに入れれば土曜のカッティングに間に合わせてくれるとの事。ありがたや・・・。

 昨年の忘年会でのバツゲームじゃなかった、選ばれた(じゃんけんで負けた)精鋭たちが、今年の忘年会で三味線の演奏を披露するための三味線授与と決起集会が開かれる。忘年会まであと約235日・・・。